試合レポート

高松商vs土庄

2016.10.06

高松商「うずしお打線」から学んだ勝利への道筋

高松商vs土庄 | 高校野球ドットコム

松岡 志佑(高松商)

「投手は3人投げてくれたんですが、恐らく140キロ台。キレもあってなんとか2点を返しただけ。投手も佐原くんにホームランを打たれるなどで2対6で完敗。試合後には『甲子園に行けるチームとはこういうチームだよ』という話をしました」(長尾 健司監督)

 9月、高松商鳴門(徳島)と練習試合を開催し、「希望郷いわて国体」への出場を控えた3年生チームとも対戦。冒頭の指揮官コメントはその際の感想である。
 

 夏の甲子園ではセンバツ優勝の智辯学園(奈良)を下しベスト8。さらに国体では夏の甲子園王者・作新学院(栃木)も破ることになる「うずしお打線」。最終到達点・本物を体感したことで高松商は旧チームが成し遂げたセンバツ準優勝の重圧を徐々に解き放とうとしている。

 事実、秋季大会の試合内容も良化してきている。初戦の高松工芸戦は5点差を終盤3回で取返し7対6で逆転サヨナラ勝ちという際どい試合運びだったが、前日の高松南戦は3人の投手リレーで1対0で完封勝ち。そしてこの日は、土庄に対し打線は4番・植田 理久都(2年主将・捕手・右投右打・178センチ81キロ・東かがわリトルシニア出身)の4打数3安打3打点をはじめ、10安打11得点。投手陣も最速136キロをマークした松岡 志祐(1年・右投右打・177センチ69キロ・東かがわリトルシニア出身)他、4人の2安打完封リレーで5回コールド勝ち。盤石であった。


高松商vs土庄 | 高校野球ドットコム

吉岡 涼大(土庄)

 特に打線は光るものがあった。前日に四国学院大香川西打線に対し最速136キロのストレートなど強気の投球で110球2安打完封した中岡 一輝(1年・167センチ67キロ・右投右打・土庄町立土庄中出身)に対しても、見極めをしっかりして7安打の他に7四死球を選び、3回で74球を投じさせて攻略につなげた。

 指揮官は試合後「自らのストライクゾーンがないので、まだ初球から振れていない」と旧チームとの差を明示したが、その段階としては正しい道を歩んでいるといえよう。

 小豆島土庄(2017年度より新設・小豆島中央)、三豊工観音寺中央(2017年度より統合・観音寺総合)の2016年度で統合される4校のうち、最後の砦として奮闘した土庄についても触れたい。「流れを止めてやれなかった」と中塚 智也監督は悔いたが、スタメン9人中1年生が6人という中にあって観音寺第一、四国学院大香川西の県内強豪を下したチーム力は十二分に評価してよい。

 これで小豆島に続く2年連続「島からのセンバツ」は難しい状況となった土庄だが、彼らにはまだ単独校で出場できる「1年生大会」も残っている。ぜひ、土庄としてのフィナーレを「県優勝」で飾ってほしい。そう切に思うのは筆者だけではないはずだ。

(文=寺下友徳

高松商vs土庄 | 高校野球ドットコム
注目記事
・2016年秋季大会特設ページ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.24

秋田の組み合わせ決まる!明桜が初戦からいきなり金足農と対戦、初戦から秋春の王者対決【2024夏の甲子園】

2024.06.23

【宮城】24日に抽選会!仙台育英優位も、他校にも十分チャンスあり、ノーシード東北の抽選結果にも注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.18

今夏埼玉の注目野手18人! ドラフト1位級の花咲徳栄スラッガーを筆頭に浦和学院・昌平らに大型選手が揃う【埼玉注目野手リスト】

2024.06.18

昨夏甲子園出場の東海大星翔進路紹介!遊撃手は阪神、エースは専修大、主将はレギュラーとして大学選手権出場!

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】