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クールダウンの重要性を再認識しよう

2016.10.30

クールダウンの重要性を再認識しよう | 高校野球ドットコム

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

 半袖では肌寒さを感じるような季節となりました。日中は暖かいけれども、夕方や夜になるとグッと冷え込む日も増えてきています。選手の皆さんはこうした寒暖の差で体調を崩さないよう、しっかりと自己管理に努めてもらいたいと思います。さて今回は練習や試合後に行うクールダウンについて、改めてその重要性と方法などについてお話したいと思います。

そもそもなぜクールダウンをするのか?

クールダウンの重要性を再認識しよう | 高校野球ドットコム

チーム全体で最後に軽くジョギングすることもクールダウンの一つ

 練習や試合前に身体を温めるウォームアップは多くのチームや選手が取り組んでいることと思いますが、クールダウンとなると省略してしまったり、選手個人に任せてしまったりしていることも多いと思います。クールダウンを行わない状態で練習を終えてしまうと、翌日身体に疲労感が残ったり、筋肉痛がひどくなったりしてベストな状態を保つことが出来なくなります。

 もちろん何日か経過すると状態は良くなってきますが、その間にも練習や試合などで身体を使うと、また状態は下がってしまい、回復するのに時間がかかる…といったことになります。これが繰り返されると日々の肉体的・精神的疲労が蓄積し、思うようなパフォーマンスが出来なかったり、疲労によるケガなどを誘発しやすくなります。クールダウンは練習や試合などで酷使した身体の状態を、より早く元の状態まで回復させるためにとても大切な役割を担っているのです。

クールダウンは身体を冷やすことではない

 基本的なことですが「クールダウン」とは文字通り訳すと「身体を冷やす」という意味ですが、実際は直接何かで身体を冷やすのではなく、運動で興奮している身体の状態を落ち着かせるためのコンディショニング方法のことを指します。ケガをしたり、痛みがあるときに氷などを使って行う「アイシング」とはそのニュアンスが違うことを確認しておきましょう。

 クールダウン=冷やすための行為、ではなく、運動でたまった疲労物質などをなるべく早く体外に排出するためのさまざまな取り組みなのです。汗をかいた状態でそのまましばらくいると汗が冷えて急激に身体が冷たくなったりしますが、これはクールダウンではありませんよね。むしろ血流をよくするような行動がクールダウンに適しているといえるでしょう。

[page_break:クールダウンの実際]

クールダウンの実際

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ウォームアップジャケットで体温調節をしながら身体を冷やさないようにする

 運動直後の心拍数は通常に比べて高くなっているため、呼吸を整えたり、ゆっくり歩いたりしながら平常時の心拍数(安静時心拍数)にまで回復するようにします。もちろん何もしなくても時間の経過とともに心拍数は平常時の状態に戻りますが、体内にたまった疲労物質を分解・代謝させるためにはある程度身体を動かしたほうが、より効果的なクールダウンといえるでしょう。軽いジョギングを行う、ウォーキングを行う等、ふくらはぎを意識的に動かすことで、末梢の血液を心臓により早く戻すためのミルキングアクション効果が期待できます。

 軽く汗ばむ程度に動いた後は、身体を冷やさないように注意しながらストレッチを行うようにします。練習後の身体は汗をかいて熱くなっていると思いますが、時間がたつと汗がひき、濡れたウエアは身体を冷やしてしまいます。身体を冷やさないようにタオルなどで汗を拭き、必要に応じてウエアを着替えるようにしましょう。ストレッチでは特に疲労がたまっていると感じるときは使った部位を中心にじっくりと伸ばすようにします。毎日こうしたストレッチの習慣があると「いつもと比べて今日は筋肉が硬い、張っている」といった違いも実感できるようになるでしょう。

 また屋外でクールダウンを行う場合はどうしても外気温によって身体が冷えてしまうことが考えられます。肌寒さを感じるときは外気や風の影響をなるべく受けない室内に移動するようにしましょう。筋肉を酷使して火照ったり、痛みがある状態のときは氷などを使ったRICE処置クールダウンの中に取り入れながら行うことが大切です。ケガや違和感をそのままにしないためにも、まず自分で出来るケアから行うようにしましょう。

 クールダウンは練習や試合後に行うことが理想的ですが、時間的な制約などがあってむずかしい場合は、帰宅後に行うようにします。その際には入浴などで身体全体を温めてから行うようにすると、全身の血流も促進され、筋肉の柔軟性も高まりやすくなるのでオススメです。

【クールダウンの重要性を再認識】
クールダウンを怠ると、疲労が翌日にも残りやすくなる
クールダウンは身体を冷やすのではなく、疲労物質を分解・代謝させるためのもの
●心拍数を興奮状態から平常に戻す
●毎日のストレッチ習慣は身体の小さな変化も見逃さない
●汗をかいたウエアは練習後に着替え、身体を冷やさないようにする
●練習後に時間が確保出来ないときは、帰宅後の入浴後がオススメ

(文=西村 典子

次回コラム公開は11月15日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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