Column

選手たちがプレーしやすい環境へ!常に先回りでサポート! 東京都立武蔵丘高等学校

2016.12.02

 東京都中野区上鷺宮に所在する、東京都立武蔵丘高等学校。野球部は今秋、3年ぶりの秋季都大会進出を決め、一回戦都立昭和との対戦では、9回一死まで無安打が続いていたが、初安打をきっかけに1点を奪い、初戦突破を果たした。しかし2回戦では関東一に敗れたが、今秋ベスト8のチームを相手に先制点を挙げるなど健闘し、粘り強い戦いを見せた。今回はそんな都立武蔵丘を支える、マネージャーたちにお話を伺った。

選手たちがやりやすい環境作りを

左から鹿嶋 千遥さん、笹原 幸波さん、田川 由葵さん、高田 真帆さん、井口 汐梨さん(東京都立武蔵丘高等学校)

 現在、野球部員は2年生10人、1年生13人の計31人で活動している。その31人の部員をサポートするのは、2年生の鹿嶋 千遥さん、笹原 幸波さん、田川 由葵さん、1年生の高田 真帆さん、井口 汐梨さんの計5人。

 主な活動内容は、練習の準備から始まり、球出し、ドリンク作り、タイムの計測など。試合の日はスコアをつけたり、投手が投げ終わったときのアイシングなど、選手たちへのケアにも気を遣っている。

 成績記録を付けることに力を入れているという都立武蔵丘のマネージャーたちだが、「スコアを付けていて途中でわからなくなったり、追いつけなくなったりしたときは本当に悔しいです。計算が合わないと全部見直さないといけないので、最初はそれがすごく大変でした」と、慣れないスコアのつけ方には苦戦した様子。負けず嫌いだという田川さんは、「最初は本やインターネットを見てスコアのつけ方について調べたり、家ではテレビでプロ野球や甲子園を見ながらその試合のスコアをつけたりと、とにかく練習しました」と、かなりの努力を重ねていた。

 スコアの他にも、個人成績と投手成績を記録しているというのが、都立武蔵丘自慢の取り組みでもある。練習試合の成績を毎試合記録し、シーズンが終わったら集計をして、部室や選手たちが使う倉庫にも掲示している。

掃除をするマネージャー(東京都立武蔵丘高等学校)

 記録をつけるというのは大変な作業ではあるが、笹原さんと井口さんは「選手たちが良い成績を残したり、努力が結果として数字に現れたりしたときは私たちもとても嬉しいので、記録をつけていて楽しいです」と、その時が活動の中で一番楽しい時間だと話してくれた。

 また、田川さんにとって一番楽しい時間は、キャッチャー道具を拭いている時なのだそう。「選手が一生懸命練習して汚れたものだし、拭いているときは『次の試合でも頑張れ!』って思っちゃいます。完璧に綺麗にすることはできないけど、少しでも良い状態で次も着てもらえるように、ちゃんとケアしているときが私は楽しいです」

 そして鹿嶋さんは「ネットの補修をしているとき」、高田さんは「ティーボールの皮を剥いているとき」が一番楽しいときなのだそう。このように選手たちのやりやすい環境を整えるというのは、みんなが心がけていることでもある。練習時間は平日だと約2時間と短いため、スムーズに練習できるよう周りをよく見て先回りをして行動している。それができるようになったときは、選手たちとともに自分たちも成長していると実感することができて、やりがいを感じるそうだ。

 そんなマネージャーたちの姿を見てきた主将の津幡 鳳羅選手は、マネージャーはチームにとって「支え」であり「癒し」だと話してくれた。マネージャーも部員の一員として、まさに一体となって日々活動している。

 次ページでは、代表の田川 由葵さんにお話を伺いました!

[page_break:チアリーディングの活動も兼ねている田川さんが語るマネージャーのやりがいとは?]

チアリーディングの活動も兼ねている田川さんが語るマネージャーのやりがいとは?

左から鹿嶋 千遥さん、笹原 幸波さん、田川 由葵さん(東京都立武蔵丘高等学校)

「マネージャーも部員の一員なんだから、一緒に頑張ろう」

 この一言は、田川さんの心に最も残っている言葉であり、一番欲していた言葉。田川さんがマネージャーになったのは、同じクラスの野球部の人に誘われたのがきっかけだった。

 幼い頃からソングチアリーディングの習い事をしているという田川さんは、小学生3年の頃から先生たちのきっかけで、2、3年ほど東京ヤクルトスワローズの専属チアリーダーをしていた時期がある。高校に入ってからはマネージャー活動も始めたが、最初はマネージャーもやりながらソングチアリーディングの大会にも出たこともある。現在は先生の都合もあってお手伝い程度だと言うが、習い事と両立をしながら活動している。

 そんな田川さんにマネージャー活動を通して自分自身が変わったことは何か伺うと、「プレーヤーを支えるという立場になって、まず周りを見れるようになりました。違った視点で物事を見れるようになったので、相手が求めていることを読み取れるようになったということは大きな変化です」と語った。「私たちに向けて話していることではなくても、選手たちが話していることを聞いて、先回りして行動できるように心がけています」と言うように、様々な工夫をしながら行動をしている。

東京都立武蔵丘高等学校 野球部マネージャー

 そんな中で一番嬉しかったエピソードを伺うと、秋の都大会2回戦関東一戦でベンチに入れたことが一番心に残っているそうだ。

 2014年春季都大会以来(秋の大会では2013年以来3年ぶり)となる本大会、しかも一回戦都立昭和に劇的な勝利を収めており、チームにも勢いがついていた。そんな中での関東一戦でベンチに入り、頑張っている選手を間近で見ることができたということに感激だったそう。

 目指すは、「信頼されて、いてくれて良かったと思われる存在」。入部当時に選手たちから言われた、「甲子園に絶対連れてってやるから」という言葉を現実にするために、全力で選手たちをサポートしていく。

 東京都立武蔵丘高等学校野球部の皆さん、ありがとうございました!
「一振入魂」、マネージャーとも一体に頑張ってください!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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