高知中央vs帝京第五
帝京第五「収穫多き」大敗
試合を終え、スタンドに一礼する選手たち(帝京大五)
「練習試合初戦で固くなった部分はありますけど、相手も同じ条件。その中で結果を出さなくてはいけない」
昨秋四国大会での準優勝が評価され、48年ぶり2度目のセンバツ出場を決めた帝京第五・小林 昭則監督の声が震えていた理由は、甲子園に続く瀬戸内海から突き付ける強風だけではないように感じた。
確かに帝京第五にとって内容は厳しいものだった。3月1日より元・京都明徳監督の中馬 浩隆氏が新監督に就任した高知中央の先発、最速142キロ右腕の和田 星哉(3年・右投右打・174センチ80キロ・高知中出身)、2番手の菊村 謙(3年・右投左打・176センチ81キロ・伊丹リトルシニア<兵庫>出身)が威力のあるストレートで内角を突いたとはいえ、打線は5安打9三振。「チーム内での紅白戦よりキレに違いがあった」と主将・宮下 勝利(3年・遊撃手・右投左打・168センチ62キロ・東淀川ブラックジャガーズ<大阪・軟式>出身)も語った対応力の課題が出た形となった。
また、投手陣は3番手以下が目される3投手が登板し被安打7の押し出し3度含む9四球。4番も張る篠崎 康(3年・捕手・右投右打・178センチ88キロ・宇和島ボーイズ出身)も三盗2個含む盗塁3個を許し、6回表の4失点は野選2個、失策2個も絡んだものである。
ただ、この試合はあくまで「練習試合」マイナスに考えては意味はない。投手陣の不調もこの日は体調不良により登板を回避した岡元 健太朗(3年・左投左打・168センチ68キロ・貝塚リトルシニア<大阪>出身)と佐藤の2本柱に改めてマウンドでの責任感を喚起する上では効果的だったといえるし、見逃し三振6は帝京第五の持ち味である「見極め」のゾーンを確認する上で必要な要素である。
加えて4回表には帝京第五が目指す形も出せた。先頭打者1番の藤井 清光(3年・中堅手・右投左打・162センチ68キロ・宇和島市立宇和海中出身)の右前安打から宮下の送りバント、佐藤 蒼介(3年・右翼手・右投左打・170センチ67キロ・B.B凌駕<ヤングリーグ>出身)の左越二塁打、一死から5番・小西 隆斗(3年・三塁手・170センチ75キロ・大洲市立平野中出身)も右前にしぶとく落とす二塁打で逆転。昨秋勝ち進んだイメージを共有できたことも含めて、この高知中央戦は「大きな収穫」と言ってよいだろう。
ちなみに帝京第五は今後センバツまでの間、3月11日(土)に大洲・[stadium]八幡浜地区運動公園野球場[/stadium]で開催される高知中央との再戦を皮切りに、愛媛県内では松山中央・八幡浜。関西入り後は初芝立命館、金光大阪、滝川第二、大阪偕星学園との練習試合を予定。彼らには練習試合初戦での大敗を多角的に捉え、「秋のように1点ずつ取っていく」(宮下)パターンを練習試合で数多く出し、甲子園での勝利に結び付ける取り組みを期待したい。
(取材・文=寺下友徳)
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