試合レポート

報徳学園vs前橋育英

2017.03.26

勝負を分けた初回の攻防

報徳学園vs前橋育英 | 高校野球ドットコム

報徳学園vs前橋育英

 「1回(裏)の4失点が重かったです」。前橋育英の荒井直樹監督はいつものように落ち着いた口調で敗因を語った。1回裏の4点へのきっかけを作ったのが報徳学園の2番・永山裕真(3年)のバントヒット。

 その前に、両チームの試合前の戦略から触れてみたい。前橋育英の先発は192センチ右腕の根岸崇裕(3年)。報徳学園の選手と首脳陣に話を聞くと、根岸の登板はあるかもしれないと思いつつ、先発で来たのは予想外だった。想定は当然、1回戦で先発したエース左腕・丸山和郁(3年)。試合前取材の時にも、報徳学園の選手には、対丸山を想定した質問ばかり飛んでいた。

 一方、前橋育英の荒井監督は根岸先発の理由の一つに調子の良さを挙げる。1回戦では丸山が先発したが、対報徳学園打線ということを考えれば、秋のように後ろに残しておいた方が丸山の良さが生きるという思いもあった。根岸本人に先発を伝えたのは試合直前だったそうだが、キャッチャーの戸部魁人(3年)には数日前に方針を伝えている。「報徳学園の1回戦の映像を見ている時に、監督から根岸でいくのでそのつもりで映像を見るようにと言われました」と戸部は試合前に話した。

 話を試合開始時に戻す。1番・小園海斗(2年)がレフトフライに倒れた直後、永山は根岸の1球目をピッチャー前へ転がし、俊足を生かした。記録は内野安打。試合前に戸部が「根岸はバント処理や牽制には目をつむらなければいけない」と明かしていた。

 打席の永山はそこまで根岸の特徴を見抜いていたわけではないが、リズムに乗せないという意図のあるセーフティバント。「自分で決めました。転がった瞬間にいけると思った」と振り返る。バント処理に向かった根岸は完全に意表を突かれた形となった。

 リズムを掴んだ報徳学園。リズムに乗り切れなかった根岸。ここから四死球やタイムリーなどで一挙4点。結果的に両チームにとって重みのある1回の攻防となった。

 前橋育英の荒井監督は2回からエース・丸山をマウンドに送ると報徳学園打線は沈黙。しかし報徳学園のエース・西垣雅矢(3年)の前に得点することができず、結局1回の4点しか入らない形で試合は終わった。

報徳学園vs前橋育英 | 高校野球ドットコム
オススメ!
第89回選抜高等学校野球大会特設サイト

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.01

21世紀枠でセンバツ出場経験のある豊橋工科が今年の公式戦初勝利!海陽学園は1年生右腕の力投実らず【24年夏・愛知大会】

2024.07.01

【夏の甲子園・関東地区好カード一覧】帝京と堀越、健大高崎と桐生第一が同ブロックに!東東京・群馬で大注目の序盤戦!

2024.07.01

とわの森三愛、立命館慶祥などが代表、出場16チームが出揃う【南北海道大会出場校一覧】

2024.07.02

春優勝の公立校・春日が登場、30日から順延のセンバツ出場・東海大福岡も初戦、3日の福岡大会【2024夏の甲子園】

2024.07.02

福岡大会では福岡大大濠、大牟田がコールド発進、進学校・福岡は3日がかりの勝利【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.26

【北北海道】北見支部では春全道4強の遠軽が登場、クラーク記念国際と好勝負演じた力見せる【2024夏の甲子園】

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.26

【北北海道】北見支部では春全道4強の遠軽が登場、クラーク記念国際と好勝負演じた力見せる【2024夏の甲子園】