試合レポート

福岡大大濠vs滋賀学園

2017.03.26

白熱の投手戦、決着は再試合へ持ち越し

福岡大大濠vs滋賀学園 | 高校野球ドットコム

福岡大大濠vs滋賀学園

 福岡大大濠の先発、三浦銀二(3年)を今大会ナンバーワンと前で紹介した。それから4日が過ぎたがその評価は依然として変わらない。重ねて言うと、投球フォームに悪いところが見当たらず、ストレートはこの日最速145キロを計測し、変化球はスライダー、カーブしかないがともにキレ味が鋭く、抜群のコントロールを誇っている。

 捕手は古賀悠斗(3年)がイニング間の二塁送球でこの日、最速1.90秒を計測している。2秒を切ればプロでも上位と言われるので超高校級の強肩と言っていいだろう。内角球を主体にした攻撃的なリードも現代野球にマッチしている。超高校級と言われるバッテリーがいれば優位に立てるのが高校野球だから下馬評が高かったのは当然、福岡大大濠のほうである。

 滋賀学園はどうかというと、エースの神村月光(3年)が不調のためマウンドから遠ざかっている。1回戦の東海大市原望洋戦(試合記事)は延長14回の大接戦だったにもかかわらず棚原孝太(3年)が1人で投げ抜いているくらいだ。そしてこの日の先発を任されたのは2年生の宮城滝太。新チームになってから公式戦の登板は1試合、1イニングというまったくの未知数。その宮城が7回3分の1を1失点に抑えてしまうのだから野球はわからない。

 投球フォームはスリークォーターで体を少し開き気味にして投げる。ストレートの最速は140キロで、変化球は逆方向のスライダー、カーブ、ツーシームを備え、勝負球にしているのはもっぱらスライダー。鋭い変化で曲がりが大きいというボールで、4三振のうち3つをこのスライダーで奪っている。と言っても一番いいのはストレートで、大して速くないボールが打者のバットを押し込む。


 福岡大大濠の苦戦の原因は宮城の力投にあったことはもちろんだが、バントの失敗の多さも無視できない。ノーアウトないしはワンアウトで走者が出ればバントで送るというのが福岡大大濠の基本的な作戦で、9回は1死から8番打者がキャッチャーフライ、12回は無死でやはり8番打者が2つファールにしたあと空振りの三振に倒れている。3回には2番平野孝太朗(3年・右翼手)がバント安打を決めているがそれまでにファールを2つ、3番古賀がセンター前にヒットを放っているが2球目をファールにしている(以上はすべてバントの記録)。

 対する滋賀学園も5回裏に8番打者がスリーバント失敗で三振、延長14回には7番打者の投手前へのバントで一塁走者が二塁で封殺されている。両校の投手がよかったことは間違いないが拙攻があったことも否めない。

 両校の再試合は2日後の3月28日の第1試合。福岡大大濠は新チームになってから三浦1人しか投げていないので再び登板することは間違いないだろう。滋賀学園はこの日の宮城が7回3分の1、リリーフした棚原が7回3分の2だからともに余力はある。中1日の日程がどっちに有利に働くかだが、実績のある2枚を備えている滋賀学園が有利とみた。

福岡大大濠vs滋賀学園 | 高校野球ドットコム
オススメ!
第89回選抜高等学校野球大会特設サイト

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.04

「学校と地域に支えられて戦う」県内有数の進学校・磐田南(静岡)、“潔く”戦って最高の夏に【野球部訪問】

2024.07.04

「速さが怖かった」 センバツ4強から学んだ走塁で市立柏が千葉の上位を狙う

2024.07.04

5日に北北海道大会の抽選会!クラーク記念国際と別海が軸、接戦を勝ち抜いたチームにも勢い

2024.07.03

2度目の3連覇を目指す九州国際大付をはじめ、シードの久留米商、真颯館、沖学園も初戦に挑む、4日の福岡大会【2024夏の甲子園】

2024.07.04

5日に新潟大会が開幕!帝京長岡と日本文理の対戦相手が決まる【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.28

スコアラーが8ヵ月後エースに急成長! オリドラ2ルーキーを輩出した聖カタリナ学園(愛媛)に今年も190cm大型投手が現れる!

2024.06.30

突然の病で右半身が麻痺した「天才野球少年」が迎える最後の夏 あきらめなかった甲子園出場の夢、「代打の一打席でもいいから……」

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!