試合レポート

浦和学院vs前橋育英

2017.05.22

浦和学院がまたも完封リレー!無失点で準決勝進出!

浦和学院vs前橋育英 | 高校野球ドットコム
家盛陽介(浦和学院)

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 前橋育英浦和学院が関東大会で対戦するのは、2015年春の関東大会準々決勝以来。この試合は1点を争う好勝負となった。

 試合が動いたのは3回裏、浦和学院矢野壱成の安打で出塁すると、一死三塁から3番家盛の適時打で1点を先制する。5回表、前橋育英は二死一、二塁のチャンスで1番の好打者・丸山和郁を迎えたところで、浦和学院は投手交代。浦和学院は近野から左腕・佐野涼弥をマウンドに送る。

 森士監督は「1点勝負だと思っていましたから、本当は多くの投手を試したいところだったのですが、ここは勝負を仕掛けていきました」
佐野起用の意図を明かす。佐野は丸山を投ゴロに打ち取ると、その裏、浦和学院は無死一、二塁のチャンスを突く合ったところで、先発の根岸崇裕が降板。センターの丸山が登板。前橋育英も同じく勝負に出たのだ。丸山は無死満塁にさせて、押し出し四球を与えてしまうが、アウトはすべて三振に取る快投を見せる。

 ここから佐野・丸山の両左腕が好投。佐野は最速136キロの速球、カーブ、落差抜群の縦スライダーで勝負。「今日はスライダーの切れが良かったので、多めに使うことができました」と語るように、要所で縦スライダーで三振を奪う場面が目立った。

 一方、丸山も常時120キロ後半~139キロのストレートとキレのあるスライダーのコンビネーションで次々と三振を奪う。コンタクト能力が高い浦和学院打線から、4イニングを投げて9奪三振、2四死球と圧巻のピッチング。昨年から目に見えた球速アップはしていないが、開きが抑えられ、打者寄りで離すことができる球持ちの長さが大きな長所で、球速表示以上と感じさせるストレート。浦和学院打線はこのストレートに苦しんだ。

 森監督は「投手陣はここまで無失点で抑えて大きな成果を上げています。しかしここで野手が打って行かないと夏は厳しい戦いになっていきます」
 試合は佐野が、4.1回を投げて5奪三振、2四死球と無失点の好投で、完封勝利。これで2試合連続の完封勝利となった。森監督はここまで力投を見せている2年生投手たちの投球を評価しながらも、まだまだ内容が甘いと指摘。ただ勝利するのではなく、夏の戦いを見据えた場合、今の戦い方で甲子園に行けるのか?選手たちに高いレベルを要求している。それも選手たちの能力の高さを期待しての要求である。

 県大会初戦・聖望学園戦に9回二死までノーシードの危機にあったチームと比べると、かなり粘り強いチームへ成長している。「良い勉強をさせてもらっています」と森監督が語るように、浦和学院は1つの試合をしっかりと血肉にしているのが素晴らしい。準決勝では日大三と対戦するが、どんな戦いを見せるのか。

 一方、敗れた前橋育英は、荒井直樹監督が課題に挙げていた「得点力向上」が最後まで克服できず、姿を消すこととなった。この世代は昨夏の甲子園出場経験者が多い。それだけに夏の大会まで、しっかりと戦力を整理して、投打ともに最高のチームで臨むことを期待したい。

(取材・写真=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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