沖縄カトリックvs嘉手納
カトリック高校に新たな1ページを加えた新エース!
完投した金城(沖縄カトリック)
「実は大会前にエースが故障してしまいまして」と、試合後の岸本監督。新チーム発足後の新人大会。この日ライトに入った普天間 朝基(ともき)が投げられないと分かったのは、7月頃だった。「夏休みに入るか入らないか。それからピッチャーとして自分なりに調整していきました」マウンドを最後まで守った金城 虎南(こなん)は、自らが置かれた立場を理解し、自分が出来る限りのことをし尽くし、この日のピッチングに備えた。
初回、いきなり先頭打者にヒットを浴びたが併殺で切り抜ける。2回には一死から嘉手納の石川 銀にライトへの長打を浴びるも、元エースの富森からセカンドの仲程 累偉を経た送球がサードの金城 朱毅(りき)へ渡りアウト。3回にも3連続単打を許したが、女房役の崎浜 隆平が刺すなど、「終始、周りに助けられた」と、金城 虎南が振り返ったように、素晴らしい守りで強力な嘉手納打線を何とか退けていった。
「普段の練習場所が場所ですから、カラーが打線のチームにしてきた」とは岸本監督。沖縄カトリックの練習場所は、沖縄国際大学近くの広場。野球が出来る環境で無いことは確かだ。得点チャンスをいかに生かすか。それを念頭に入れていたナインだからこそ、少ない好機を不意にすることはなかった。
沖縄カトリックは2回、金城 虎南がライト前ヒットで出塁すると犠打で進める。7番仲程 累偉がセンター前ヒットで続く。「彼はスクイズなどの小細工よりも、打たせた方がいい結果が出る選手。」と指揮官。それに8番新垣 憂空(あらかき・ゆうく)が期待に応える三遊間を破るタイムリーで先制した。5回には、その新垣 憂空が四球で出塁すると盗塁を成功させる。9番金城 朱毅がバントヒットを決める。走攻守に要の1番久松 優介は倒れたものの、2番宮良 龍一がスクイズを成功させる。「場面が場面だけに、欲しかった1点だった」と、岸本監督も手放しで彼らをほめたたえた。
しかし自力で勝る嘉手納。4回に上地 弘樹の犠飛で得点すると8回、一死から途中出場の平典士(たいら・てんじ)がセンターを襲う二塁打。ワイルドピッチで三塁へ進むと、中村 一貴の犠飛で1点差に詰め寄る。そして9回裏、誰もが想像しなかったことが起きた。
一死から四球で出塁した嘉手納は3番親泊 泰誠がセンターへ打ち上げるもアウトになり追いつめられる。しかし4番又吉 李樹(りき)が2球目を捉える。打球は左中間を深々とやぶる。一塁走者は一気にホームへ。しかしカトリックは外野からショートの久松優介を経てキャッチャーの崎浜隆平へ。「これ以上ないプレー。選手たちにホントに感謝です」(岸本監督)。球審の手が上がる。「アウト!」間一髪で死守した沖縄カトリック高校が、創部5ヶ月で嬉しい3大会公式戦の初勝利を手に入れたのだった。
(文=當山雅通)
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