錦城学園vs中大附
錦城学園・星、ノーヒットノーラン(7回参考)で3回戦進出
星天太(錦城学園)
1回戦では打撃戦の末、都立雪谷を破った錦城学園と、投手戦の末、都立片倉を破った中大附の一戦は、錦城学園のエース・星天太の力投が光る試合になった。
錦城学園の先発、エースの星は身長170センチ、64キロ、中大附の先発、背番号3の中村和喜は身長174センチ、61キロと、ともにやや細身の左腕の対決になった。
錦城学園の星は、体全体を使った躍動感のあるフォームから力のある球を投げ込み、3回を終わって1人の走者も出さず、奪三振5と中大附の打線を完全に封じる。
一方中大附の中村は、球威がさほどあるわけではないが、「スピンがかかっていて差し込まれました」と、錦城学園の玉木信雄監督が言うように、3回までは安打1本に抑えられる。
試合が動いたのが4回表錦城学園の攻撃。一死後3番・園田小哲が内野安打で出塁すると、4番・塚田光咲はライトへの二塁打で園田が還り1点を先制する。さらに右翼手の返球がそれる間に塚田は三塁に進み、6番・星の二ゴロで、塚田も生還する。
5回裏中大附は、一死後5番岡本海知の強い打球はセンターへ。打球は中堅手のグラブに当たりながらも、捕球できず、岡本は二塁へ。中大附にとっては初の走者であるが、安打か失策か、観客の視線がスコアボードに集まる中、「E」の表示。ノーヒットノーランの記録はまだ続いた。
中大附は6回表から、投手を背番号1の横手投げ、足立岳に交代する。錦城学園打線は足立に襲いかかる。この回錦城学園は安打2本と四球で一死満塁とし、8番・佐藤寛太の左前安打でまず1点。続く上澤孝太郎は四球で押し出し。さらに1番・児玉東太の左犠飛でこの回3点を加える。
7回表には4番・塚田の二塁打、5番・千明駿平の死球、6番・星の犠打、前の回から7番に入っている福田隼大の二塁打で2点が入り、コールドゲームが成立する7点差がついた。
錦城学園の星は、5回に中堅手の失策で走者を出した以外は、走者を出さず、7回を投球数79、奪三振9で、参考記録ながら、ノーヒットノーランを達成した。
星は、最速は130キロ強だが、スライダーのキレ良く、体全体を使いテンポよく投げ込むため、球速以上の威力を感じる。好投の星は、「外中心で、テンポよく投げることができました」と語る一方で、この日の投球の自己採点は、65点。
「初球のカウントをとる変化
球が浮いてしまいました」と冷静に語り、浮ついたところがない。
これで錦城学園は3回戦に進出。と同時に春季都大会のシード校にもなった。「シード校になるのは初めてです」と玉木監督は語る。シード校になるのはひとつの目標であったが、ベスト16とベスト8では、意味合いが違ってくる。しかも次の相手は、日大三出身の内田和也監督率いる立正大立正。錦城学園の助監督の中島健人も日大三出身で、内田監督の後輩にあたる。それだけに、「中島のためにも勝たせてあげたい」と玉木監督は、3回戦に向けての意気込みを語った。
一方敗れた中大附であるが、序盤好投した中村や、この試合では打ち込まれたが、横手投げの足立など、投手陣の頑張りもあって、2回戦に進出できたのは、一つの成果である。ただもう一段ステップアップするには、打線を中心としたパワーアップが必要になる。
(文=大島 裕史)
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