羽田野 温生(汎愛)打倒・大阪桐蔭に燃える公立の本格派右腕
激戦区の大阪で注目を集めている右腕がいる。188㎝の長身から最速147㎞の速球を投げ込む本格派の羽田野温生(3年)だ。公立の雄である汎愛から初のプロ入りも期待されている羽田野は1年秋の大阪桐蔭戦で公式戦デビューし、根尾昴から三振を奪うなどの力投で注目を集めた。今回はプロ注目の羽田野にスピードボールを投げるための秘訣や打倒・大阪桐蔭への想い、野球選手としての理想像などを伺った。
公立で強豪校を倒すために汎愛へ進学
本格派の大型右腕として注目を集める羽田野温生(汎愛)
―― 野球を始めたきっかけは何ですか?
羽田野温生(以下、羽田野): 3歳年上の兄が野球をやっていて、その姿を見てカッコいいなと思って野球を始めました。始めたのは小学3年生で畷スカイヤーズに所属していました。
―― ピッチャーはいつから始めましたか?
羽田野: 本格的に始めたのは小学校5年生です。体が大きかったので指導者の方に勧められたのがきっかけです。
―― 小学生の時点で身長はどれくらいありましたか?
羽田野: 小学生の時には160㎝後半はありました。
―― 中学で寝屋川シニアに進んだ理由は何ですか?
羽田野: 硬式でやってみたいと思っていました。寝屋川シニアは近くでまあまあ強いと聞いていたのでそこに行きました。
―― 同級生に甲子園に出場した選手はいましたか?
―― エースになったのはいつからですか?
羽田野: 3年生になってからです。
―― 当時で球速はどれくらいでしたか?
羽田野: MAXで136㎞です。
―― 中学時代から実力があった中で公立の汎愛高校を選んだ理由を教えてください。
羽田野: 公立で強豪校を倒したくて、公立で力のある汎愛を選びました。
[page_break: 大阪桐蔭戦で公式戦デビュー!根尾昴から三振を奪う ]大阪桐蔭戦で公式戦デビュー!根尾昴から三振を奪う
1年秋の秋季大会では大阪桐蔭を相手に力投を見せた(写真は2016年秋季大会の大阪桐蔭戦より)
―― 入学してみて汎愛の印象はどうでしたか?
羽田野: 1年生の時は3年生に圧倒されましたが、汎愛は公立の中では強いですし、来て良かったなと思います。
―― 1年秋の大阪桐蔭戦で公式戦デビューしましたが、投げてみてどうでしたか?
羽田野: 正直、悔しい気持ちはありましたが、自分の実力がそれまでだったので秋の大阪桐蔭戦で投げた後からもっと成長しないといけないと思いました。
―― いきなり相手が大阪桐蔭ということで怖さはありませんでしたか?
羽田野: 楽しみでしたね。
―― その試合で根尾昴選手から三振を奪ったことで話題になりましたが、そのことについてはどうですか?
羽田野: 同期でも有名だったので、対戦するなら三振を取りたいと思っていたのでそこは意識していました。
―― 大阪桐蔭と対戦してみて改めて大阪桐蔭を倒すために何が必要なのかわかったのではないでしょうか?
羽田野: 自分のその時点での実力はそれまでだったので、大阪桐蔭を倒すには実力が足りないので、もっと練習しないといけないと思いました。
―― 1年生の秋から2年生の春はどう過ごしてきましたか?
羽田野: 打倒・大阪桐蔭でずっとやってきました。エースを任されているので自分の実力が大阪桐蔭を上回れるように練習してきました。
―― 2年生の夏前に体調を崩したそうですね。
羽田野: 昨年の5月の終わり頃に肺炎にかかりました。悔しかったですね。「なんで今」って感じでした。2週間ほど入院していました。
――退院してからの回復状況はどうでしたか?
羽田野: 体重が5㎏落ちたので体力はかなり落ちていました。走り込んで夏の大会に向けて体力を戻していきました。
――夏は登板機会が少なかったですが、振り返ってみてどうでしたか?
羽田野: 5回戦の上宮戦で投げさせてもらいましたが、凄い責任感でメチャクチャ緊張しました。正直、ベストではなかったです。言い訳になりますが、肺炎にならなければ抑えられたと思うので悔しかったです。
――夏に悔しい思いをしましたが、秋に向けてはどう取り組んできましたか?
羽田野: 先輩の分も、自分たちの代で[stadium]甲子園[/stadium]に出るという気持ちでいました。
――最上級生になって変わったことはありましたか?
羽田野: 練習に取り組む意識が変わりました。僕がチームをプレーで引っ張ろうと思うようになりました。
――その中で秋の結果はご自身にとってはどうでしたか?
羽田野: 正直、何してるんやろって感じでした。情けないというか、ベストなピッチングでもなかったです。そこでベストを出し切れなかったのも実力だなと思いました。甘く入った球を仕留められることが多かったので、コントロールに課題があると感じました。
――この冬はどういうテーマで練習に取り組んできましたか?
羽田野: 球速アップと変化球の精度を上げることを意識して取り組んできました。球速を上げるには走り込みが一番だと思って下半身を重点的に鍛えました。変化球は感覚なので変化球を投げ続けて感覚を掴めるようにしました。
――冬で成長したと感じるところはありますか?
羽田野: 冬前はコントロールに課題があって四球が多かったのですが、まとまったピッチングができるようになりました。また、変化球で三振を取ることができるようになりました。
[page_break: 夏は大阪桐蔭を完封することしか考えていない ]夏は大阪桐蔭を完封することしか考えていない
――春は自分の思うような投球ができましたか?
羽田野: 関大北陽に負けた試合は変化球が決まらなかったことと、真っすぐで空振りを取りたいところでカットされることが多かったです。真っすぐで空振りを取れる回転数を身に付けるという課題ができました。コースに決まったところをカットされたので、実力を発揮できなかったというよりは単に実力が足らなかったです。
――現在の最速は147㎞ですが、速いボールを投げられるようになるには何が大切ですか?
羽田野: 自分が一番意識しているのは回転数です。理想は浮き上がるようなイメージで回転をかけるようにしています。
――回転数を上げるために意識していることはありますか?
羽田野: 握力を鍛えています。巨人の菅野智之投手がやっているような3㎏のボールを使ったトレーニングをしています。
――フォームやボールの握りで大事にしていることはありますか?
羽田野: 身長があるので角度が一つの武器になるように角度をつけることを意識しています。
――変化球は何を使っていますか?
羽田野: スライダー、カーブ、カットボール、パームです。
――投球ではどういう組み立てを意識していますか?
羽田野: 真っすぐで押して、追い込んだら自信のあるスライダーで勝負するのが理想です。
――夏ではどんな投球をしたいですか?
羽田野: 自分の中では大阪桐蔭に当たった時に完封することしか考えていないです。動画を見てイメージを掴んでいます。自分の持ち味である速い真っすぐで押して、変化球でゴロを打たせるピッチングを意識したいです。
――高卒でプロに行く意思はありますか?
羽田野: 自分の中ではプロに行きたいと思っています。プロを意識したのは高校2年生の夏が終わってからです。夏の大会で負けて自分の代になってから球速がどんどん上がっていって、周囲の方々への恩返しとしてプロに入りたいと思いました。
――プロに行ったらどんな投手になりたいですか?
羽田野: 最終的な目標は日本を代表する投手になりたいです。理想像は大谷翔平選手のような速い真っすぐを投げて、打者を圧倒させられるような投手になりたいです。
――プロに入ったら何年で1軍に定着したいみたいなものはありますか?
羽田野: プロに入ったら少しでも早く一軍で活躍したいと思います。
――最後の夏に向けての意気込みをお願いします。
羽田野: 全試合自分が投げて全試合完封するくらいの気持ちで臨みたいと思っています。甲子園は絶対に行きたいです。大阪桐蔭を倒してこその甲子園だと思うので、大阪桐蔭は絶対に倒したいです。
文=馬場遼