ミレニアム世代のトッププロスペクトたち Vol.5「草薙 柊太、松本 晴、左向 澪」
第100回大会の主役となる「ミレニアム世代」。全国各地の逸材をトッププロスペクト方式で紹介。今回は、飛び抜けた武器を持った選手を紹介する。
草薙 柊太(国士舘)投手 国士舘左腕3人衆の一番の大物 夏こそ西東京の主役に
草薙柊太(国士舘)
今年の国士舘は石井崚太(3年)、井田尚吾(3年)、草薙柊太(3年)と3人の左腕がいる。その中で最もスケール感があるのが草薙柊太である。
2年夏では最速147キロを計測。そこから2年秋は控え投手として待機することが多く、出番自体は少なかった。だが3年の春は二松学舎大附戦で先発登板し、6回を投げて1失点の好投。決勝戦の日大三戦でも先発するなど、着実に登板機会は増えている。
だがここまでセンセーショナルな活躍はない。石井は秋には早稲田実業、春は創価を封じる好投を見せた。井田は昨秋、16奪三振を記録するだけではなく、先発・中継ぎとしてチームを支える投球を見せている。まだ草薙は「これぞ草薙!」という快投はない。甲子園を狙う国士舘にとって、草薙の一本立ちは誰もが願っていることだろう。
NPBのスカウトが、3人の中で草薙をチェックするのは、底知れないスケールが花開くことを祈っているだろう。
敗れた木更津総合戦では失点こそしたものの、内容自体は悪くなかった。全力で抑えにかかった角度のある140キロ前半のストレートは非常に威力があり、縦割れのカーブも悪くなかった。あとはそのストレートを先発でも投げられるか?そして、投球術をどれだけ極めることができるか。
[page_break:松本晴(樟南)投手 鹿児島ナンバーワン左腕 今度は自分の左手で甲子園を]
松本晴(樟南)投手 鹿児島ナンバーワン左腕 今度は自分の左手で甲子園を
松本 晴(樟南)
昨年から目覚ましい活躍を見せる鹿児島ナンバーワン左腕が、最後の夏に臨む。
エースとして臨んだ昨夏の鹿児島大会では鹿児島大島戦で、9回二死まで無安打無得点の快投。大記録はならなかったものの、1安打完封、15奪三振の快投を見せた。そして一冬超えた今年の春の県大会の準々決勝で鹿児島実業相手に2回を投げて無失点の好リリーフを見せ、県大会準優勝に貢献した。
松本は左スリークォーターながら140キロ前半のストレートは回転数が高く、高めのストレートで空振りが奪える。さらに内外角へ投げ分けるコントロールも併せ持つ。そして一番の武器は、125キロ前後の高速スライダーだ。打者の手元で鋭く切れ込むスライダーは簡単にはとらえることができない。
ストレート、スライダーの精度はいずれも素晴らしいが、松本は、どんな状況でも窮地を潜り抜けるマウンド捌きの巧さ。まさに洗練された好投手という表現がぴったりな投手だ。
そんな松本が憧れる投手は2年前、チームを甲子園に導いた浜屋 将太(三菱日立パワーシステムズ)だ。
「切れのあるスライダーとコントロール良いまっすぐで抑える姿がかっこよくて、超えないといけない存在です。また浜屋さんの気迫がこもった投球は印象的で、自分が求めるエース像は浜屋さんだと思っています」
最後の夏まであともう少し。2年前は宿敵・鹿児島実業を破って甲子園へ出場。今年も勝ち進めば決勝で当たる可能性がある。次も勝って甲子園にいくつもりだ。
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左向 澪(智弁学園)外野手 超俊足のセンター 打撃面に力強さを
左向 澪(智辯学園)
今年の智辯学園では長打力のある選手が多くなってきたが、野球選手としては左向 澪が一番だろう。
一発を秘めた打撃、塁間3秒7で駆け抜ける超俊足、一歩目が速く、グラウンドを縦横無尽に駆け抜ける守備範囲の広い外野守備、さらに強肩と走攻守三拍子揃った外野手だ。
今年の選抜では次々とファインプレーを演出。日大山形戦ではセンター前ヒットになりそうな打球をスライディングキャッチ。さらには、創成館戦では前後の打球に対応し、延長10回裏には2つの大飛球に追いつく美技を見せるなど守備範囲の広さと球際の強さを発揮した。
そして選抜後の春季大会では本塁打を放つなど、打撃に力強さが増し、攻守で隙の無い選手へ成長を見せている。
走塁技術、守備技術の高さは超高校級。あとは、打撃面で大きな成長を見せることができるか。打撃面で文句なしの活躍を見せれば…。さらに脚光を浴びる選手になることは間違いない。
文=河嶋宗一