香川県から発信する「高校野球200年構想」
2007年2月に首都圏から居を四国地区に移し12年目。「さすらいの四国探題」の異名を背に四国球界でのホットな話題や、文化的お話、さらに風光明媚な写真なども交え、四国の「今」をお伝えてしている寺下友徳氏のコラム「四国発」。
第9回では先日、大阪桐蔭(北大阪)を招いて行われた「平成30年度香川県高野連招待試合」第1日終了後に開催されたキッズイベントから「高校野球200年構想」について考えていきます。
根尾 昴が、藤原 恭大が、そして西谷 浩一監督が。「子どもたちと」楽しむ
大阪桐蔭・根尾 昴(3年・投手兼遊撃手)とキャッチボールをする子どもたち
早いもので今週金曜日の22日には香川大会抽選会。24日には愛媛大会、25日には徳島大会、そして30日には高知大会と、四国4県の「第100回全国高等学校野球大会」抽選会も目前に迫ってきました。
今年は100回大会という記念すべき大会であると同時に「高校野球200年構想」に代表される「次の100年」を考える上でも大事な年。すでに全国各都道府県では様々な形で子どもたち向けのイベントが企画されています。
その中で香川県高等学校野球連盟は100回大会に先がけ、6月16日(土)の「平成30年度香川県高等学校野球連盟招待試合」初日後に、こんなキッズ向け企画を組みました。あえて名前を付ければ「大阪桐蔭の選手たちとキャッチボール、ストラックアウトをしよう!」。招待校の大阪桐蔭と大手前高松の選手たちが、グラブを持参してきた子どもたちと一緒に小学生用軟式ボールでキャッチボール、ストラックアウトをするというイベントです。
「僕らが小さいときは野球がやるのは当たり前の時代だったが、今はそうでもない。野球人口を増やしていくには何か手を打たなくてはいけない」と話した西谷 浩一監督はじめ、大阪桐蔭の全面協力があって実現した初の試み。いざ始まってみると非常に楽しい時間となりました。
[page_break: 「野球を純粋に楽しむ」の大切さ]「野球を純粋に楽しむ」の大切さ
ストライクコールをする大阪桐蔭・西谷 浩一監督
子供たちは、ついさっきまで打ち、投げ、走っていた高校生のお兄さんたちと戯れ,
根尾 昴(3年・投手兼遊撃手)・藤原 恭大(3年・中堅手)といったドラフト候補選手たちを含む高校球児たちも笑顔で交流。西谷監督も審判役で場を盛り上げ、最後に行われた大阪桐蔭vs大手前高松ストラックアウト対決では歓声が[stadium]レクザムスタジアム[/stadium]を包みました。
子どもたちはもちろん大阪桐蔭にとっても、この企画は新鮮な経験だったようです。「いい機会でした。子どもたちがキャッチボールでもいいので野球に興味を持ってもらえれば、僕らも勉強させてもらいました」と西谷監督が振り返れば、キャッチボールでは1球ごとに「ナイスボール!」と声を上げていた根尾 昴選手(3年)も「今までは教えてもらう立場だったけど、教える立場の難しさを感じたり。でも、楽しかったです。一生懸命、高いレベルを目指してがんばってほしいですね」とエール。時間にして1時間近くの短い時間でしたが、参加者の皆さんは「野球の楽しさ」を感じられたのではないでしょうか。
香川県高等学校野球連盟・小野 裕作理事長によれば「今回の企画で出た課題を踏まえて、また近いうちにこのような企画をやっていきたい」とのこと。ともすると私たちは試合の勝敗やタレントの有無などを話題にしがちなところですが、「野球を純粋に楽しむ」がいかに大切か。そして「高校野球200年構想」にとっても大きなキーワードになるということを改めて知った今回のイベントでした。
(文・寺下 友徳)