試合レポート

報徳学園vs市立尼崎

2018.07.28

エース・渡邊が完封!報徳学園が涙の夏切符を掴む!

 天候が心配された東兵庫大会決勝だったが、無事に開催までこぎ着けることができた。
 8年ぶり15回目の夏の甲子園を目指す報徳学園と、2年ぶり3回目の出場を狙う市立尼崎の決勝は、序盤から非常に引き締まった投手戦となった。

 報徳学園の先発マウンドに立ったのは、エースの渡邊友哉。左スリークウォーターから多彩な変化球を繰り出す、技巧派左腕だ。初回こそ先頭バッターに四球を与えたものの、落ち着いた投球で後続を打ち取り、市立尼崎打線に付け入る隙を与えない。2回以降も、130キロ前半のストレートとスライダー、チェンジアップのコンビネーションが冴えわたり、スコアボードに「0」を並べていく。

 対する市立尼崎も、エース左腕の竹中哲平に先発を託す。速球のアベレージは130キロ前後であるが、強気なピッチングが持ち味のサウスポーで、バッターのインコースへ果敢に攻める投球には目を見張るものがあった。初回から再三ランナーを背負うものの、持ち前の強気な投球で決定打は許さず、報徳学園の渡邊に負けじとスコアボードに「0」を並べていった。
 両校のエース左腕の好投で、試合は序盤から投手戦となり、非常に速いテンポで試合は進んでいった。

 しかし試合も中盤に差し掛かった5回裏、遂に試合が動く。先制したのは報徳学園だった。
 9番・大崎秀真のツーベースを皮切りに一死満塁のチャンスを作ると、3番・長尾亮弥がライト方向へのゴロを放つ。野手正面の当たりとなり、万事休すかと思われたが、土と芝の境目でバウンドが変化し、これが相手野手のエラーとなった。打球はライトへと抜けていき、ランナー二人が生還。報徳学園が待望の先制点を挙げ、試合の主導権を握ることに成功した。

 リードをもらったエースの渡邊は、後半に入っても球威が衰える気配を全く見せない。ボールも高めに浮くことも無く、ボールを丁寧に低めに集めて市立尼崎打線から凡打の山を築いていく。
 結局、渡邊は最後まで市立尼崎に得点を許さず、試合はそのまま2対0で報徳学園が勝利し、8年ぶり15回目の夏の甲子園出場を決めた。勝利した瞬間は、プロ注目の小園海斗を中心に選手は抱き合いながら号泣。秋、春となかなか勝ちきることができなかったチームだけに、選手たちは喜びを噛みしめた。

 報徳学園は、大角健二監督となってから初めての甲子園となる。新体制になって初めての甲子園で、報徳学園がどんな戦いを見せることができるのか注目していきたい。

 

(文:栗崎 祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.07

【8日登場の逸材一覧】大分の県立校に現れた148キロ右腕、U-18代表候補の右腕が登場! 

2024.07.07

ノーシード広島商が「逆襲」へ好スタート、尾道商、尾道東も0封ゲーム【2024夏の甲子園】

2024.07.07

帝京長岡、日本文理は快勝発進、東京学館新潟は劇的サヨナラ勝ち、六日町は初戦敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.07

茨城では日立商がサヨナラで初戦突破、連合チームが逆転勝ち【2024夏の甲子園】

2024.07.07

シード校の相手が決定、東海大相模、慶應義塾の相手は?8日の神奈川【2024夏の甲子園】

2024.07.05

白山高元監督の“下剋上球児”再現はあるのか!? センバツ1勝の宇治山田商、2年生集団で東海大会準優勝の菰野など各ブロックの見所を紹介【2024夏・三重大会展望】

2024.07.07

【8日登場の逸材一覧】大分の県立校に現れた148キロ右腕、U-18代表候補の右腕が登場! 

2024.07.07

ノーシード広島商が「逆襲」へ好スタート、尾道商、尾道東も0封ゲーム【2024夏の甲子園】

2024.07.05

春連覇した加藤学園は悲観達成を狙う! 静岡、日大三島、藤枝明誠、プロ注右腕・小船を擁する知徳らが行く手を阻む!?【2024夏・静岡大会展望】

2024.07.07

帝京長岡、日本文理は快勝発進、東京学館新潟は劇的サヨナラ勝ち、六日町は初戦敗退【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!