試合レポート

金足農vs近江

2018.08.18

金足農が斎藤の逆転サヨナラ2ランスクイズで近江を土壇場で打ち破る! 吉田は4試合連続2桁三振を継続!

金足農vs近江 | 高校野球ドットコム

 第100回全国高校野球選手権大会14日目の準々決勝。第4試合は3試合連続13奪三振以上を記録してきた剛腕・吉田 輝星(3年)の右腕にかける金足農(秋田)と、今大会は打率.615、2本塁打、11打点と主砲・北村 恵吾(3年)のバットがチームを引っ張る近江(滋賀)が対戦した。

 序盤は静かな立ち上がり。金足農の先発・吉田は初回を遊撃手・斎藤 璃玖(3年)の好守もあって3者凡退に抑えると、3回表は9番・瀬川 将季(3年)からスプリットで空振り三振。さらに木村 龍之介(3年)はアウトローのストレートで、土田 龍空(1年)は145キロの高めの真っすぐで3者連続の空振り三振を奪った。

 しかし4回表の近江は、その吉田を攻略。先頭の家田 陸翔(3年)が二塁手のエラーで出塁し一死からバントで送ると、打席には今大会ここまで10打数8安打と絶好調の住谷 湧也(2年)。フルカウントまで粘ると、インローに来た141キロの真っすぐに対し腕を畳んでライト線へタイムリーツーベース。好投手から先制点を奪った。

 近江の先発は今大会3試合目の登板となる右腕・佐合 大輔(3年)。1回裏は二死から吉田の内野安打と打川 和輝(3年)の右前打で一二塁とされるが、5番・大友朝陽(3年)は137キロのインコースのストレートで詰まらせて二ゴロ。また、4回裏も先頭打者をエラーで出塁させると、大友のバントに対し佐合は二塁へ送球するがこれが悪送球。16365(3年)の犠打で一死二三塁とされるが、菊地 彪吾(3年)を高めのストレートで一邪飛。8番・菊地 亮太(3年)はアウトコースのスライダーでファーストゴロに打ち取り、得点を許さなかった。

 そして、近江は5回裏から継投に出て、2番手に左腕・林 優樹(2年)を登板させるが、金足農は一死から菅原 天空(3年)が右中間を深々と破る三塁打。ここで2番・佐々木 大夢(3年)が2ボールからスクイズを試みるがファウル。仕切り直しとなったが、金足農ベンチは意表を突いて2球連続でスクイズをすると、これが投前に見事に決まって同点に追いついた。

 だが、近江はすぐに突き放す。6回表、土田が三塁線を破るツーベース。犠打で三塁へ進めると、打席には4番・北村。ここまでの2打席は凡打に打ち取られていたが140キロのインコースのストレートを振り抜き、前進守備の遊撃手の左を抜く適時打。4番の意地の一打で近江が2対1とリードを奪った。

 その後は両投手がナイスピッチングを見せ、近江の林は6、7回を3者凡退。8回裏は佐々木夢のヒットから二死三塁とされたが、大友をインローのスライダーで空振り三振に仕留めた。金足農の吉田も9回表、有馬 諒(2年)、住谷の連打で無死一二塁とされるが、途中出場の見市 智哉(2年)を143キロの真っすぐで見逃し三振。林のバントは素早いフィールディングで三封し、瀬川はフルカウントからインローの真っすぐで空振り三振と、この試合10個目の三振を奪って、1点差のまま試合は9回裏へ進んだ。

 そして、ここからドラマが始まる。金足農は高橋がレフト前にヒットを放つと、菊地彪も左前打。8番・菊地亮は四球で無死満塁とすると、斎藤は1ボール1ストライクからの3球目をスクイズ。低めのストレートをきっちり三塁前に転がし三塁走者を本塁へ迎え入れるとサードが一塁へ送球する間に二塁走者も一気にホームへ。一塁手が必死にバックホームするも菊地彪のヘッドスライディングの方が一瞬早く、なんと2ランスクイズでサヨナラ。金足農が3対2で近江を下し、ベスト4へ勝ち上がった。

 金足農の終盤の粘りは見事だった。特に無死一塁で打席に立った菊地彪は今試合ここまでノーヒットで、この打席でもバントの構えからストライクを見送り、2球目はバスターに出て空振りと簡単に追い込まれてしまったが、なんとか粘って最後はチェンジアップに食らいつきレフト前ヒット。逆転へのムードを作り上げた。また、サヨナラのスクイズも満塁の場面だったためホームがフォースプレーになるにも関わらず斎藤は難なく決めたように見えた。この場面でスクイズのサインが送れるということは、かなりのバント練習を積んできたということだろう。そして、先発の吉田はこれまでの3試合に比べてストライクが先行。スプリットやツーシームなど変化球を使いながら、勝負どころでは力を込めたストレートでこの試合でも2桁の10奪三振と好投したのも見逃せない。

 近江は佐合、林とプラン通りの継投と北村の勝負強い打撃で勝利寸前までこぎつけた。土壇場のクロスプレーで惜しくも敗れ去ったが、8強同士らしい素晴らしい勝負を見せてくれた。

 驚異的な終盤の集中力を見せて、84年以来、34年ぶりに4強入りした金足農。準決勝は大会15日目の第1試合で日大三(西東京)と対戦する。

(記事=大平 明

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.24

夏の滋賀を盛り上げる23人の逸材を紹介!近畿屈指の大型遊撃手・岩井(滋賀学園)、名門・近江の大エース西山など投打に人材揃い

2024.06.24

秋田の組み合わせ決まる!明桜が初戦からいきなり金足農と対戦、初戦から秋春の王者対決【2024夏の甲子園】

2024.06.24

昨夏甲子園出場の文星芸大附の卒業生進路紹介!主力は上武大、国士舘大、東京農業大へ進学!

2024.06.25

昨夏甲子園16強・北海の卒業生進路紹介!元巨人外野手の息子らが中央大、147キロ右腕は社会人へ

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.19

夏の兵庫大会のヒーロー候補21人!報徳学園・今朝丸、神戸弘陵・村上の「151キロ右腕二人」が筆頭格!投打にタレント揃いの東洋大姫路にも注目

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】