小屋松を中心としたバッテリーが飛躍への鍵を握る 久留米商(福岡)【前編】
中村 祐太監督が古豪・久留米商の監督に就任したのは昨年の11月になる。そして、今4ヶ月が過ぎようとしている。「やることが沢山あります」と語ってくれた中村監督は、今年のチームについてこのように話してくれた。
「夏までには無駄な失点を最小限に防げるチームにしたいと思ってます。打つほうは、ピッチャーが良ければ、なかなか打てないこともあると思います。ピッチャーを中心にした守備だと僕は思ってます」
今回のコラムでは、守備の中心となる久留米商のバッテリーにフォーカスしてみたい。
タイプの違う投手でどう踏ん張るか!
左から牛島幹貴 徳永大晟 小屋松憲斗(久留米商)
今年のチームはどうですか?この質問に中村監督は
「ピッチャーがどれだけ踏ん張れるのかなと、そこが一番かなと思います」
と語ってくれた。
現在久留米商を引っ張っているのは、小屋松 憲斗、牛島 幹貴、徳永 大晟3人の2年生投手になる。左右そしてタイプも違う投手3枚が、試合をどのように作っていくのかが鍵となる。
秋に1番を付けたのは小屋松 憲斗(こやまつ・けんと)だ。中村監督も期待している投手だ。小屋松の武器はなんと言ってもスピードのある直球だろう。冬の時期に138キロを計測している。(2019/02/25の時点) 暖かくなれば、140キロは超えてくるだろう。
そんな小屋松を中村監督は、ピッチャー陣のキャプテンに指名した。その意図を中村監督が話してくれた。
「ピッチャーのキャプテンにすることで周りのことも考えなくちゃいけないし、どうしても周りと話をしますし、意見を言わないといけません。そういうところで考えて野球に取り組んでくれたらいいかなと思っています」
明確な意図の下、指名したキャプテンというポジションで小屋松は成長してきているという。
「実際キャプテンにして意識は変わってきてるとは思います。自分から言葉を発っしたり、やっぱり周りを見ないといけないので指示を出したり。 だから紅白戦とかしてるんですけどもプレイ中にも指示の声ひとつにしても出るようになってきてるんで、少しずつ成長を感じています」
小屋松の確かな成長を中村監督は感じている。とは言え、中村監督が考えている理想の投手像には、まだ到達していない。 中村監督は小屋松が、より自分の意見を口にして、考えた投球が出来るようになると、もう一歩上のステージ進めると確信している。そして小屋松はそれが出来る投手だからこそ、中村監督は期待しているのである。
その小屋松と正反対で、考える投球を身上とするのが、徳永 大晟(とくなが・たいせい)だ。
「体が小さいんですが、色々考えています。どうやってタイミングを外そうかなど、常に色々考えてるんですね。だから実践では面白いと思います」
中村監督は、徳永をこのように評する。徳永以外にも、左の牛島 幹貴(うしじま・もとき)など投手の駒は揃っている。
小屋松を中心に、どのような投手起用をするのか? 久留米商の投手陣にも注目したい。
[page_break:チームの鍵を握るのは捕手・中山]チームの鍵を握るのは捕手・中山
ボールを受ける中山泰地(久留米商)
3人の投手に触れたが、中村監督がこのチームの鍵を握っていると考えるのは1年生捕手の中山 泰地だ。中山を抜擢した理由を中村監督はこのように話す。
「キャッチャーを育てるのは時間がかかります。なので彼にはまずこの一年はキャッチャーとして学んでもらう。まずはキャッチャーの訓練をしてもらいたい。今年は(計算できる)ピッチャーがいるので勉強になると思っています。期待はしています」
中村監督は、キーとなる中山を捕手として一本立ちさせるために、投手陣とのコミュニケーションや、リードの引き出しを増やすための施策を徹底して行っている。
その一つが、紅白戦での中山の起用の仕方だ。
「(紅白戦で)中山はまだ打席に一回も立たせてないです。ずっとキャッチャーをさせています。攻撃の時は、中山の打席は違う選手を立たせて、中山は後ろで、僕らと話しながら投球を見させています」
この起用法の真意はなんだろうか?
「リードしていくとなるとコミュニケーション能力とか必要になってきます。だからキャッチャーで後ろで見させることで意識を高く持ってもらいたいと思っています。まずは、ピッチャーとよく話をして、どんな話でもいいんですけど、コミュニケーションをとりながらですね。それをしていく事が彼の課題かなと思います」
「今はまだ紅白戦ですので、気がついた点があれば、練習を止めながらバッテリーを呼んで話したり、僕がマウンド行ったりして話しながら経験値を付けていっています。キャッチャーの意識を持って貰いたいなぁと思ってます」
これこそが、中村監督の望むことだろう。中山は、すでに捕ったり、投げたりは出来ているという。だからこそ投手陣と更にコミュニケーションを投手と取れ、リード自分で考えだしたとき、久留米商は間違えなく一段上のレベルに上がるだろう。
中村監督にキーマンとして挙げられた中山の成長を期待しながら見守りたい。
編集後記
今回のコラムではバッテリーを中心とした守備力にフォーカスしたが、中村監督は、「守備の練習をすれば、攻撃にも表裏一体で、攻撃も向上していくと思っています。なので守備力を磨きながら、実は攻撃の面とか意識としてですね、植え付けていきたいなと思っています」と話してくれた。この冬を超え打撃ではどんな成長があったのかも注目してみたい!
(文・田中 実)