Interview

大切なことは「やり方」よりも心の「在り方」 近藤大樹(西日本短大附)vol.3

2019.04.01

 今年の西日本短大附について西村慎太郎監督に聞くと「非常に楽しみなチーム」という答えが帰ってきた。その楽しみなチームの中心にいるのが近藤大樹だ。

 西日本短大附を17年率いて、2度の甲子園出場に導いている西村監督をして「稀に見るキャプテン」と言われる近藤について紐解いていく。vol.3の今回は、近藤の現在地や夏に向けた心境に迫った。

◆名将も認める「稀に見るキャプテン」 近藤大樹(西日本短大附)vol.1
◆「近藤の力が絶対必要です」最上級生を魅了した人間力 近藤大樹(西日本短大附)vol.2

人間としての成長を求めて西短へ進学

大切なことは「やり方」よりも心の「在り方」 近藤大樹(西日本短大附)vol.3 | 高校野球ドットコム
近藤大樹(西日本短大附)

 「近藤は、U15という世界を見て、自分が出来るところ、まだまだ足りないところを自分で感じてると思うんです。普通だったら自分よりできない子達に『何やってんだ!』となるかと思うんですけども、そうではなくて、上手にできる子できない子含めて中に入ってですね、きちんと対処するんですね。本当に17歳かなぁこの子はと感じます」

 西村監督から見た近藤の現在地である。西村監督の言葉を借りれば「目配り・気配り・心配り」が出来るのだ。

 そんな近藤の高校時代は常に順風満帆だったかというと、それは違う。近藤は多くの事を許容でき、皆に気が配れるだけの器があるが、同じぐらい責任感もある。他者の目標まで近藤は背負うのである。良い言い方をすれば、キャパが大きくキャプテンシーがある。だが、裏を返せば、高校生でそこまで抱え込まなくて良い責任を抱える傾向がある。自分以外のコントロールできない相手の目標まで抱えてしまうことで、考えすぎてしまうことがある。

 ただ、西村監督はそんな経験も、近藤の成長には必要なことだと語る。
 うまくいかないことが挫折だとは、西村監督は考えていない。本気でやっても、成果に結びつけたり成功する可能性は低いという現実がある中で、高校生の時代は、うまくいかなかったものと、うまくいくもの、両方を体験してくれたら最高であると西村監督は強く語る。

 「これだけやった、それが自分の描いた方向に叶えば自信になります。うまく行かなければ違うやり方を考えたり、自分を高めていく方法を変えたりと自分の色んな能力を上げていく。そういう意味では今しっかりと悩むことは悩んで、ぶつかることはぶつかってという必要な時間を過ごしてると思います。彼の中では良い時間を過ごしてるんじゃないかな」

 近藤は西日本短大附で着実に良い経験を積み成長してきている。他の人の目標も背負うかもしれないが、近藤ならそのすべてを背負いながら目標を超えていけると期待させてしまう。

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やり切った状態で夏を迎えられるようにしたい

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近藤大樹(西日本短大附)

 そんな西村監督の期待を背負う近藤自身も、夏に向けたチームの目標や個人の目標を目指す上で、必要となるものを理解している。

 チームとして甲子園出場という大きな目標はあるが、そのために必要なのは相手ではなく自分たちの心の中に意識を向けることが重要であると近藤は語る。

 「一番足りないのは技術面より、日ごろや学校生活です。
 そこをちゃんとやればもっと自信になるんですけど、まだチームが子供なので、夏の大会までに詰めていこうと思ってます。
 甲子園にいくとかではなく、チームの一人一人がすべてやり切り、後悔ないと思えるくらいやり切った状態で夏を迎えられるようにしたいと思います」

 また小学生の時からの目標である、プロ野球選手になるという目標に対しても、近藤は野球の「やり方」よりも心の「在り方」に意識を向けている。

 多くの高校生は、プロ野球選手の夢を語る際にセットで口するのが、数字的な目標だ。打率や本塁打数、勝利数など、数字で示せる目標を語ることで自身の目標を表現するが、ここでも近藤が重要視しているのは、数字では示すことができない「心」の部分である。

 「ずっと小学校からそうですけど、自分は一流のプロ野球選手になりたいと思っています。プレーとしてもそうですけど、プロとして人から信頼されたり、感動を与えらえるようなプロ野球選手になりたいと思います」

 近藤が中心となる西日本短大附は、4月2日に行われた春季福岡県大会準々決勝で、昨秋敗れた九州国際大付を2対1で破るなど、早くも冬のトレーニングの成果を見せ始めている。
 球春到来である。春が過ぎればすぐに夏の大会が始まる。近藤は人間力を武器にどこまで心身ともに成長しているのか、今から楽しみが止まらない。

文=栗崎 祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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