試合レポート

仙台育英vs飯山

2019.08.09

仙台育英の140キロカルテットに注目!

仙台育英vs飯山 | 高校野球ドットコム
大栄陽斗

大量失点でも常田唯斗(飯山)が期待できる理由。来年も甲子園へ

 24安打20得点を奪った仙台育英。投打ともにハイレベルだと印象付ける試合だった。今回は140キロカルテットについて紹介していきたい。

 まず先発の笹倉世凪(1年)はインステップ気味のフォームから繰り出す直球は常時135キロ~141キロを計測。威力があり、飯山打線は詰まる打球も多かった。120キロ前半のスライダーに加え、110キロ台のチェンジアップの精度も高く、やはり高校1年生とは思えない完成度の高さがある。3回を投げ、被安打1、2奪三振、1四死球、1失点。3回表に適時打を浴びたが、それでも後続をしっかりと占めた。

 この後、笹倉は2本の長打を放ったが、スイングスピードがとてつもなく速く、打者としても非凡なものがある。

 2番手としてマウンドに登った大栄陽斗(3年)も非常に良かった。右スリークォーターから投げ込む直球は常時130キロ後半~143キロを計測。以前よりも球速が上がり、だいぶ回転数が上がり、空振りを奪える球質に変化。一番驚いたのは変化球。130キロ前半のスライダーはただ横の変化するというよりも、打者の手元で小さく落ちるスライダーで、現代流行りのスラッター系の変化球だ。

 3安打を放った打撃も捨てがたく、手元まで呼び込んでしっかりと振り切るシャープなスイングはリストの強さを感じさせ、打球も鋭い。対応力も高く、打者として評価する声も高い。春の東北大会を見たときは打者として評価していたが、だいぶ投手らしい球筋、変化球で勝負できるようになったのは大きく評価できる。

 伊藤樹も左足をしっかりと立ったバランスの高い投球フォームから繰り出す常時135キロ前後・140キロの直球は伸びがあり、フォークのコンビネーションもよい。細身な体型なので、怪我に気を付け、うまく体を作って力強さが出てくれば、140キロ後半の到達も現実的には投手だ。

 9回裏にマウンドに登った鈴木 千寿(3年)も好投手だ。左腕のグラブを高々をあげて、テークバックを大きくとるアーム型のフォーム。このフォームから投じる直球は常時135キロ~143キロとストレートは4人の中でも最も球威があり、120キロ台のスライダー、曲がりが大きい90キロ台のカーブを武器にする。

 次は鳴門と対決する仙台育英。打撃力、守備力、走塁力、投手力ともにハイレベルな仙台育英は投打ともに力を発揮できるか。

大量失点でも常田唯斗(飯山)が期待できる理由。来年も甲子園へ

[page_break:両チームの個人成績表]

両チームの個人成績表

仙台育英・須江監督 宮城勢通算100勝について、非常にうれしいですね。去年の3年生が今の走塁、守備というのを形作ってくれたので、そういう思いをもって臨んだ試合で達成できて嬉しいです。

仙台育英大栄陽斗 1点取られたとき、正直まずいと思いました。あの大声援ですし。ただ、監督さんからも後半勝負だよといわれていましたし、まだ1点で、イニングもたくさんあったので勝負できると思いました。それができたのは後半3イニングの紅白戦があると思います。ビハインドの場面で状況を設定して、点を返せるか。そういう積み重ねが後半になっても勝負できたと思います。

飯山・吉池監督 長野大会では守備については自信があったのですが、仙台育英さんの打球の速さについていけず、いつもと平常心では臨めていないところがあったのかなと思いました。
飯山常田唯斗 仙台育英の打線は甘い球は見逃さないし、低めも見逃さないし、本当に凄い打線でした。この反省を生かして、秋に臨んでいきたいと思います。

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大量失点でも常田唯斗(飯山)が期待できる理由。来年も甲子園へ

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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