試合レポート

関東一vs明石商

2019.09.30

不調でも崩れない土屋大和の観察力 明石商を完封でベスト4進出

関東一vs明石商 | 高校野球ドットコム
野口洋介(関東一)

 第1試合で夏の甲子園ベスト4の明石商と、ベスト8の関東一が激突した国体二日目の第1試合。試合前の予想通り、非常にハイレベルな戦いとなった。

 まず魅せたのは関東一のキャッチャー・野口洋介とセンターの大久保翔太だ。
 明石商には日本代表捕手の水上桂がいたが、野口も水上劣らない強肩を見せつけた。1回に明石商の1番・重宮涼がいきなり盗塁を仕掛けると、野口は焦ることなく素早い握り替えからピンポイントでの送球で刺殺。
 自分も負けていないと言わんばかりの、見事な送球であった。

 また俊足が持ち味の大久保も、守備で存在感を見せた。
 2番・水上がセンターへの大飛球を放つと、大久保はこの辺りを背面でのランニングキャッチ。守備範囲の広さ、そしてバランス感覚の良さを存分に見せつけたプレーであった。

 だが、そんな二人を差し置いて、この試合で主役に躍り出たのはエースの土屋大和であった。
 「本調子ではなく、体力面で不安がありました。正直(明石商打線に)ビビりながら投げてましたね」

 試合後に、冗談を交えながら試合中の心境を明かした土屋。だが、そんな言葉とは裏腹に、投球内容は非常に緻密で戦略的なものであった。
 この試合で効果的に決まったのはツーシーム。その配球の意図について、土屋は次のように話した。

関東一vs明石商 | 高校野球ドットコム
土屋大和(関東一)

 「チェンジアップが抜けていて狙われている感じがしたので、(捕手の)野口と話してツーシームを多めに投げました。明石商は狙い球をしっかり絞って、徹底されているなと感じました」

 土屋の好投で徐々に流れを掴んだ関東一は、中盤から一気に点差を広げ始める。
4回裏に4番・平泉遼馬のソロホームランで先制点を挙げると、5回裏にもランナーを二人置いた場面で、2番・藤松丈一郎 が右中間スタンドへスリーランホームランを放つ。
 二本の本塁打で、関東一が主導権を握った。

 「体力面に不安があった」と語った土屋であったが、後半になってもバテる素振りは全く見せずに明石商打線を翻弄。試合は5対0で関東一が勝利した。

 敗れた明石商は、先発の中森が「秋季大会に向けた調整」のため先発登板したが、後続の投手が関東一を抑えることができなかった。
 これで3年生はすべての公式戦が終了となったが、先発の中森をはじめとする1、2年生の選手たちは選抜甲子園を目指して秋季大会を戦うことになる。現在は準決勝まで勝ち上がっており、10月5日に神戸国際大付と対戦予定だ。
 3季連続の甲子園出場を果たすか注目だ。

(文=栗崎 祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.01

21世紀枠でセンバツ出場経験のある豊橋工科が今年の公式戦初勝利!海陽学園は1年生右腕の力投実らず【24年夏・愛知大会】

2024.07.01

【夏の甲子園・関東地区好カード一覧】帝京と堀越、健大高崎と桐生第一が同ブロックに!東東京・群馬で大注目の序盤戦!

2024.07.01

とわの森三愛、立命館慶祥などが代表、出場16チームが出揃う【南北海道大会出場校一覧】

2024.07.02

春優勝の公立校・春日が登場、30日から順延のセンバツ出場・東海大福岡も初戦、3日の福岡大会【2024夏の甲子園】

2024.07.02

福岡大会では福岡大大濠、大牟田がコールド発進、進学校・福岡は3日がかりの勝利【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.26

【北北海道】北見支部では春全道4強の遠軽が登場、クラーク記念国際と好勝負演じた力見せる【2024夏の甲子園】

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.26

【北北海道】北見支部では春全道4強の遠軽が登場、クラーク記念国際と好勝負演じた力見せる【2024夏の甲子園】