俊足強肩を武器に目指すは「鈴木誠也」 佐藤 直樹(JR西日本)
10月17日(木)に東京都内のホテルで開催される「プロ野球ドラフト会議 supported byリポビタンD」。日本野球最高峰NPBへの扉を開けるべく、今年も数多くの若者たちが「ドラフト候補」の称号を手に歓喜の時を待っている。
特にドラフト1位が有力視されている最速151キロ左腕・河野 竜生(JFE西日本)をはじめ、中国地区の社会人チームには有望選手が多数存在。今回はその中から2名のインタビューをお届けする。1人目は報徳学園(兵庫)卒3年目・JR西日本の50メートル走5秒8・遠投120メートルを誇る外野手・佐藤 直樹(178センチ85キロ・右投右打)である。
勤務先で「あの」ゴールデンルーキーとバッタリ
佐藤直樹(JR西日本)
―― 兵庫県神戸市出身1998年9月3日生まれの佐藤選手、まずは野球を始めたきっかけを教えてください。
佐藤 直樹 外野手(以下、佐藤) 中央小1年の時、灘西レイダース(軟式)の監督さんから誘われました。自分はその時空手をしていましたが、野球をやってみたら楽しくなって空手を辞めて野球に転向した感じです。
―― 中学からは報徳学園中(軟式)、報徳学園と進んでいきます。まず報徳学園中に進んだ理由は?
佐藤 友だちが報徳学園中を志望していたので「自分もそうしようか」と思って。そんな深い理由ではないです(笑)。でもこの6年間で野球に取り組めたことはよかったです。高校の監督は永田(裕治・現:侍ジャパンU-18代表監督)さんでしたが、厳しい中にも褒めてくれる監督さんでした。報徳学園はグランドも決して広くないし、室内練習場もない。その中でひたすら野球に取り組んでいました。
―― 大学などの選択肢もある中、JR西日本へ進んだ理由は?
佐藤 永田監督が勧めてくれたんですが、この3年間で野球を考えられるようになりましたし、野球の深さも知ることができたので、今は社会人に進んでよかったと思っています。
―― ということは勤務もありますよね?
佐藤 朝方はJR広島駅で勤務しています。シーズン中には遠征に出る広島東洋カープの選手たちにも会うことがあるんですが、この前は高校2年後輩の小園(海斗)にもバッタリ会って「おお!」となってました。
でも、小園は高校時代からすごかったけど、プロ1年目からあれだけ試合に出てすごい。僕とってもいい刺激になっています。
[page_break:鈴木誠也(広島)のような走攻守のハイレベルを目指して]鈴木誠也(広島)のような走攻守のハイレベルを目指して
佐藤直樹(JR西日本)
―― 今年の都市対抗、チームは中国予選敗退に終わりましたが佐藤選手はJFE西日本の補強選手としてベスト8入りに貢献。13打数6安打3打点で優秀選手にも輝きました。そこは自信になったのでは?
佐藤 そうですね。特に打撃については今年、ボールの見方、ボールのとらえ方などすべてを一度リセットし、考えて取り組んだ結果、都市対抗では昨年と比べても自信が残る結果を残せました。あ、それとJFE西日本で測定したら50メートル走が0秒1上がって5秒8になりました(笑)
―― もう少し打撃の部分を具体的に教えてもらっていいですか?昨年はもっとコンパクトに打っていた印象もありますが……。
佐藤 昨年までは前にポイントを置いて点で捉えるイメージだったんです。ただ周囲からは「始動が遅い」ということをよく言われていました。
ですので今年はトップを早めに作って股関節でタメを作ってから、ボールをよく見てラインの中でボールを捉えることに取り組んでいます。こうすることによってたとえ詰まってもポテンヒットが増えるようになりましたし、。都市対抗で結果が出た要因もここにあると思います。
――そこまで変えた理由はドラフト解禁年となる「高卒3年目」ということも頭の中にあってのことですか?
佐藤 正直、JR西日本に入社した当初はさほどプロを意識することはなかったんですが、試合にで始めるにつれて徐々にプロを意識するようになってきた感じです。
体重も野球部公式HPの表記(177センチ78キロ)は入社1年目のままなんですが(笑)、入社後はプロテイン摂取と毎日、スピードを重視した筋力トレーニングにも取り組みましたし、今年は春のキャンプに入る前から「絶対にプロへ行く」と誓いを立ててずっと練習してきました。
――ちなみに佐藤選手が理想にしている選手はいますか?
佐藤 広島東洋カープの鈴木 誠也さんです。走攻守すべてにおいてレベルが高いですし、自分もプロに入ったら打って、守って、走れる。そんな選手になりたいと思っています。
――いよいよ、10月17日も近づいてきました、当日はどんな心境になると思いますか?
佐藤 楽しくは……ないですね。心配で。よっぽど試合をしていた方が楽です(笑)。
――では最後に出場が決まっている日本選手権も含め、自分のアピールをお願いします!
佐藤 まずは一塁への駆け抜けやスピード。そして肩を見てほしい。そこに加えてバッティングも見て頂ければと思っています!
「もともとの身体能力に加えて安定感・勝負強さが出てきた。都市対抗でも長打が出るようになって、何かつかんでくれた感じがある」とJR西日本・花本 輝男監督も認める3年目の成長。その実感をさらに増幅させるため、10月17日、佐藤 直樹はプロ野球への出発進行の笛を吹く。
(取材=寺下 友徳)