Interview

覚醒のきっかけはダルビッシュ有。中西健登(国士舘)が東京都屈指のサイドハンドになるまで

2019.11.16

 11月16日、明治神宮大会準々決勝、国士舘vs白樺学園の一戦は4対3で白樺学園が勝利した。今回は国士舘のエースとして、防御率1.12の好成績を残したエースの中西健登にインタビュー。今や国士舘に欠かせない大エースへ成長した中西の飛躍までのプロセスを描いた。

投手人生は高校から

覚醒のきっかけはダルビッシュ有。中西健登(国士舘)が東京都屈指のサイドハンドになるまで | 高校野球ドットコム
中西健登(国士舘)

 全国の壁は厚かった。なかなか自分の思い通りのピッチングができない。白樺学園戦を振り返って中西は「振らせようと思った変化球が見極められ、また自分の生命線であるコントロールが良くなく、非常に苦しいピッチングでした」と語る。それでも「シンカーは良いところに決まれば打たれないということが分かっただけでも収穫があったと思います」と手ごたえを感じている。

 調布シニア時代は外野手で、投手人生は高校から始まった。永田監督の勧めで投手をはじめ、サイドスローになったのも永田監督の勧めだ。

「監督さんから『お前は腰の回転がサイド気味だから、サイドスローのほうが良い』といわれ、実際に試したら、サイドのほうがしっくりきて、たまに遊びでオーバースローで投げることがあるんですけど、やっぱりしっくりこないので、自分はサイドスローなんだなと思いました」

 台頭するのは2年夏の大会後。正捕手の吉田健吾は中西の成長を感じ取っていった。
「中西はあまり球速は出ないんですけど、伸びを感じるんですよね。だんだんそんな球質になってきました」

 そして中指と薬指をひねらせるように投げるシンカーもマスターし、練習試合でも好投。ナインからも信頼を得られ、主将の鎌田州真は「『中西の負担を軽くしろ』というのがチームの合言葉となり、守備、打撃を磨いていきました」

[page_break:ダルビッシュ有の動画を見てから2試合連続完封!]

ダルビッシュ有の動画を見てから2試合連続完封!

覚醒のきっかけはダルビッシュ有。中西健登(国士舘)が東京都屈指のサイドハンドになるまで | 高校野球ドットコム
都大会で優勝投手となった中西健登

 そして自信をつけた中西は一次予選から快投。都立西戦では7回参考記録ながら完全試合を達成。都大会でも世田谷学園戦で完封、2回戦の都立冨士森戦でも3.1回を投げて無失点の好リリーフを見せるが、10月27日の明大中野八王子戦では6失点、11月2日の準々決勝の修徳戦でも4失点と思うようなピッチングができない時期が続き、中西は明大中野八王子戦では「ストレートが走らず、コントロールが悪く、良い投球ではなかったです」と苦しい時期を過ごした。

 そこで活路を見出すために、ある投手の動画を見た。それがダルビッシュ有投手の動画だ。
「トレーナーさんからお前の理想形は『ダルビッシュ』という指摘をいただいて、それからダルビッシュ有さんの動画を見て、左肩を下げるフォームにしたところ凄いハマったんです」

 準決勝の都立城東、決勝の帝京にも完封勝利を収め、優勝の大原動力となった。今でもダルビッシュのトレーニングに関する動画を見て研究するという。

 そして白樺学園戦では決め球のシンカーが甘く入って決勝打を許した。永田監督からコントロールの重要性を説かれた。

 中西はコントロールだけではなく、球威も鍛えていかないと実感している。
「コーナーに攻めて決まったと思ったボールがファールにされたり、自分の思い通りの結果にならずに苦しむことが多かったんです。今よりも5キロぐらいは速くして、空振りを奪えるボールになれば、ピッチングの幅も広がっていくとと思っています」

 2連覇に貢献した右サイドハンドのサクセスストーリーはまだ始まったばかり。前チームで果たせなかった全国1勝を成し遂げるために、この冬は大化けの冬とする。

(取材=河嶋 宗一)

関連記事
国士舘・中西健登と創価・森畑侑大が歩んだエースへの道のり
秋季東京都大会優勝の国士舘の選手たちに直撃!優勝の要因は?今年のチームの特徴は?
来春選抜32校を独断で予想!第1弾

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.24

夏の滋賀を盛り上げる23人の逸材を紹介!近畿屈指の大型遊撃手・岩井(滋賀学園)、名門・近江の大エース西山など投打に人材揃い

2024.06.24

秋田の組み合わせ決まる!明桜が初戦からいきなり金足農と対戦、初戦から秋春の王者対決【2024夏の甲子園】

2024.06.24

昨夏甲子園出場の文星芸大附の卒業生進路紹介!主力は上武大、国士舘大、東京農業大へ進学!

2024.06.25

昨夏甲子園16強・北海の卒業生進路紹介!元巨人外野手の息子らが中央大、147キロ右腕は社会人へ

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.19

夏の兵庫大会のヒーロー候補21人!報徳学園・今朝丸、神戸弘陵・村上の「151キロ右腕二人」が筆頭格!投打にタレント揃いの東洋大姫路にも注目

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】