最速138キロのみちのくの剛腕 近藤悠人(宮城仙北ボーイズ)の持ち味は「強気に攻めるピッチング」
2020年はここまで中学野球も大会数が大きく減少し、選手にとっての貴重なアピールの機会が失われているが、その中でも頭角を見せている中学3年生はいる。
東北地区で剛腕として名を鳴らしているのが、宮城仙北ボーイズの近藤悠人投手だ。
身長175センチ、体重80キロのガッチリとした体格から投げ込む直球は最速138キロを記録し、気持ちの強さも申し分ない。
そんな近藤投手に、これまでの歩みや高校野球での目標を伺った。
イチロー選手に憧れ小学校3年から野球を始める
近藤悠人(宮城仙北ボーイズ)
様々な中学野球チームの指導者に話を聞く中で、東北地方で非常に高い評価を受けているのが宮城仙北ボーイズの近藤投手だ。最速138キロの力強い直球もさることながら、気持ちをぶつけてくる強気なピッチングスタイルが最大の特徴で、関東圏でもその噂を耳にしていた。
宮城仙北ボーイズは、宮城県の北西部に位置する大崎市で活動を行っているが、近藤投手が住んでいるのは岩手県一関市。練習グラウンドまでは片道1時間がかかるが、両親の支えもありながら週4日の練習に励んでいる。
「監督さんの誘いもあり、宮城仙北ボーイズを選びました。チームメイトにも岩手県から通っている選手はいて、2学年上の佐藤紅琉さん(明秀日立2年)も岩手から通われていました。佐藤さんへの憧れもありましたね」
現在は投手として活躍を見せる近藤投手だが、野球を始めた時は野手としての活躍を思い描いていた。幼い頃から、メジャーリーグの舞台でプレーするイチロー選手の姿に憧れており、小学校3年生の秋から少年野球チーム・涌老野球クラブに入団して野球を始めた。
近藤悠人(宮城仙北ボーイズ)
「ずっと小さいころからイチロー選手に憧れていて、打者としてプロ野球選手になりたいと思っていました。4年生の冬から投手をすることになりましたが、肩の強さには元々自信はありましたね」
投手を始めた当初はコントロールに苦しみ、「投手には向いていないのではないかと思っていた」と振り返るが、練習を重ねる中で制球難も徐々に改善。小学校6年生頃からは、試合をしっかりと作ることができるようになり、県大会ベスト16の成績を残した。
「それでも当時は、自分よりもすごいなと思う選手はいっぱいいました。
昔に比べたら今は成長したなという感覚はありますが、バッターもピッチャーもみんな凄かいなと感じました」
ピンチになればなるほど気合いが入る
近藤悠人(宮城仙北ボーイズ)
投手として更なるレベルアップの必要性を感じた近藤投手だが、宮城仙北ボーイズに入団後は右肩上がりの成長を見せる。
1年生の秋から試合への出場機会を掴み、実戦で128キロを記録すると、2年生の夏には130キロを記録。ボーイズリーグの夏の全国大会である、第50回記念日本少年野球選手権大会では3試合に登板し、チームのベスト4進出に大きく貢献した。
「特に印象に残っているのが、前年度優勝チームの福井中学ボーイズとの試合です。自分は先発したのですが、自分の中では腕が振れていて良い投球ができたかなと思っています」
近藤投手の特徴である強気なピッチングスタイルも、この頃から自身の持ち味として意識し始めた。ピンチを迎えると自然と気合いが入ると明かし、これからも強気なスタイルは続けていきたいと強く語る。
「やっぱりランナーが出たら、ギアが上がります。ピンチになればなるほど気合いが入るので、気持ちでは負けない投手になりたいと思います」
近藤悠人(宮城仙北ボーイズ)
その一方で、近藤投手が今後の課題に挙げるのが制球力の向上だ。
小学校時代と比べると比較にならないほど制球力も向上したが、さらに高い目線で見るとまだまだ改善すべきポイントは多い。
普段のピッチング練習から父親に投球フォームを撮影してもらうなど、小さなフォームの修正にも日々努めており、現在は「しっかりと狙ったコースに投げること」を目標に取り組んでいる。
「今はリリースポイントを意識しながら投げていて、腰の回転でボールを前で離すようにイメージしています。まだボールにばらつきがあるので、もっとコースに決まるように練習したいと思います」
中学野球の最後の大会となるであろう、日本選手権やジャイアンツカップは開催が読めない状況だが、近藤投手は早くも高校野球での活躍を見据えている。自身の最大のストロングポイントである直球で押し込むスタイルで、中学野球と同様に下級生からの活躍を誓う。
「1年生からベンチ入りして 、すぐに活躍できる選手になりたいと思います。自分は速球が自慢なので、速球で押してチームを勝利に導けるように頑張りたいと思います」
みちのくの剛腕は、高校野球でも輝きを放つことができるか。近藤投手の今後に注目だ。
(取材=栗崎 祐太朗)
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