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自分の足で歩む力を。昨秋の県大会準V・敦賀(福井)の指揮官が願うこと

2020.05.26

自分の足で歩む力を。昨秋の県大会準V・敦賀(福井)の指揮官が願うこと | 高校野球ドットコム
敦賀のエース・久米遼 ※写真は昨秋の北信越大会

 「このままではあかんと思いまして、エースの久米遼と一緒に海に行きまして、ゆっくり話をしておりました」

 電話口から聞こえてきたのは敦賀の吉長珠輝監督の声だ。北信越の21世紀枠の推薦校に選ばれた敦賀の指揮官であり、選手たちとLINEを使ったコミュニケーションだけではなく、自主練習の方法と選手たちと一緒に考えていくなど、まさに二人三脚で選手たちの指導を徹底することが特徴的な先生だ。

 そんな吉長監督も5月20日に下された決定に、「虚無感と言いますか、無力感は感じながら選手たちと接していました」と大きなダメージを受けていた。だから冒頭で説明したように、選手たちと一緒に語り合いながら、吉長監督もゆっくり整理をしているのだ。

 チームは3月25日から4月2日までの期間だけ練習で来たが、2月からの休校が現在も延長されており現在も全く活動ができていない。学校は6月1日から再開予定だが、部活動も同じタイミングで再スタートできるかどうかの保証はない。

 そんな中で夏の大会の中止が発表されたが、「今回の決定までに様々な過程があって大変だったと思いますが、中止を下すのは簡単です。大会の日程の延期とか別の選択肢はなかったのか」と思うところはたくさんあったとのことだ。

 その一方で選手たちは柔らかい発想を持っていた。選手同士のミーティングで、悔しさや他校の3年生も考えて、どう開催するのか話し合いをしてみた。そうすると、「なるべく3年生が出られるようにベンチの入りの枠を増やそう」や「人数が多ければ2チームに分けて参加もありではないか」という意見。

 さらには、「プロや大学のスカウトの方も入場券と駐車券と一緒にすれば、路上駐車が減って警備員さんや運営の生徒たちの仕事は減る」など広い視点から意見が飛び出した。

 吉長監督も「凄いな」と選手たちの発想力には驚いていたが、野球だけではなくすべての競技において最後の大会の開催を望んでいる。
 「これからの社会を担っていく卵なので、しっかりと育てる必要があります。だからこそ野球だけではなくて、他の競技を含めてすべての3年生に集大成の舞台を用意すべきだと思います」

 今回の事態を受けて、「自分たちの足で歩んでいく強さを身につけよう」と選手たちには話をしているとのこと。それが発揮されるのはずっと先のことかもしれないが、まずは集大成の舞台が整うことを願うばかりだ。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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