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目標は県NO.1、目的は人として成長する。夏の大会への想いをハッキリさせた丹生(福井)の現在

2020.06.03

目標は県NO.1、目的は人として成長する。夏の大会への想いをハッキリさせた丹生(福井)の現在 | 高校野球ドットコム
写真は2019年10月から

 先が見えず闇雲に続けることがいかに大変なのか。そして、目標をもって今すべきことをハッキリさせることがどれだけ大事なのか。今回の新型コロナウイルスの一件で、多くの人たちが身をもってわかったことだろう。昨夏は広島東洋カープに入団した、玉村 昇悟をエースにして福井大会準優勝を飾った丹生でも、ミーティングを通じて、今後に向けた取り組み方をハッキリさせていた。

 甲子園の中止が20日に決まったが、当日は分散登校で練習はできていなかった。その中での中止の決定を受けて、監督の春木竜一氏は21日に急遽3年生全員を集めて、ミーティングを開いた。

 「1時間近くミーティを開きましたが、選手たちはもちろん私自身もショックでした。ミーティングの時も選手たちは落ち込んでいたのですが、まず選手たちが何を感じているのか。そこから聞いていくことにしました」

 まず選手たちの心に寄り添うべく、率直な気持ちを春木監督は選手たちに問いかけた。すると、ショックを受けていることを語る選手もいたが、なかには中止の決定に納得できない選手もいたとのことだ。
 「高校野球だけではなく、部活動に所属する生徒をはじめとした高校生。そして小中学生がこの期間、我慢して自宅で過ごしてきました。ですが、実際には外に出ている人がいるのは、テレビやネットを見ればわかります。それを見て『なんで自分たちだけ』と感じていたんです」

 野球だけではなく、本当であれば学校生活を過ごし、仲間と目一杯部活動に打ち込みたい。友人と時間を過ごしたい学生にとっては、我慢できない事態だ。また20日の時点では感染者も減り始めていた時期で、丹生の周りの地域では感染者はあまり出ていない状況だった。

 それにもかかわらず中止の結果となったことに、選手たちは納得ができなかったのだ。春木監督は、選手たちの素直な想いを受け止めながら会話を続けた。その上で選手たちに向けて、「これからどうする?」と新たな問いを投げかけた。

 「たしかに春の時期は自分を磨くと同時に、チームが夏勝ち上がるために自分はどうあるべきか。そういうことを考えられる時期が無くなってしまったわけですが、21日のミーティングの時には代替大会の開催を検討すると出ていたので、選手たちに聞きました」

 そこで春木監督が確認したのが、目標と目的の2つだ。
 丹生における目標は優勝である。秋、春、そして夏のどこかでも県NO.1になることが目標なのである。そしてもう1つの目的は何なのか。どうして野球をやるのか春木監督は選手たちに聞くと、「野球が好きだから。人として成長できる」など様々な答えがあったと振り返る。

 その上で目的というのは、目標に向かって頑張っていく過程で身についていく。つまり、優勝という目標のために、練習を重ねることで礼儀や忍耐力をはじめとした様々な力を付けて、人として成長できる。野球をする目的を達成できるということを、選手たちへ伝えたのだ。

 春木監督は選手たちの様子を見て、「スッキリしているだろうし、今すべきことは選手たちがわかっていると思います。ですので、やってくれると信じています」と最後にメッセージを残して、電話取材を終えた。代替大会開催は未定だが、開催されたときに丹生の目標である福井の頂に立つべく、最後の戦いに挑む。

(取材:田中 裕毅)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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