Interview

佐賀県屈指の強打の遊撃手・市丸紘樹(唐津商)の成長の秘訣となった「攻守の意識改革」

2020.06.22

 昨秋の佐賀県大会で準優勝を決め、九州大会に出場。初戦で明豊と激突し、激しい乱打戦を繰り広げたのが唐津商だ。

 独自大会でも優勝候補として期待される唐津商は18日に初戦を迎える。その唐津商をけん引するのが主将の市丸紘樹だ。1年生の夏からスタメンに名を連ねた市丸はこの3年間で着実に攻守を磨き上げ、現在、高校通算19本塁打を放ち、佐賀県屈指の遊撃手へ成長した。
 そんな市丸はどうレベルアップを遂げたのだろうか?

タイミングのとり方とサイズアップにより強打の遊撃手へ成長

佐賀県屈指の強打の遊撃手・市丸紘樹(唐津商)の成長の秘訣となった「攻守の意識改革」 | 高校野球ドットコム
市丸紘樹(唐津商)※写真提供=唐津商野球部

 1年生から公式戦に出場してから、年々、実力をつけてきた。昨秋、壮絶な打撃戦を繰り広げた九州大会・明豊戦では、好左腕・若杉晟汰から二塁打を放つなど、6打数3安打1打点をマークしている。

 さらなるレベルアップへ体作りに取り組み、高校3年間でしっかりと体作りに取り組み、入学から10キロの増量に成功し、現在は172センチ76キロまでサイズアップしている。吉冨俊一監督も、「1年生の時よりもバッティングが良くなった」と実感がある。

 この冬は量と質ともに伴った練習を実行できた。
 「冬場はチームで素振り500回は徹底してやっています。僕はその時に1回1回時間をかけても良いから、セカンドとショートの頭をライナー性で抜くイメージをもって素振りをするように心がけてきました」

 その結果、本塁打はセンターからライト方向へ放つ打球が多くなったが、そうした高い技術を発揮するために意識をしているのはタイミングの取り方だ。

 市丸は相手投手が足を下ろすタイミングで右足を上げられるように意識している。理想は阪神の糸井嘉男宮津出身)のような打撃だ。

 体力的にも、技術的にも成長を果たし、現在はチームトップの高校通算19本塁打に到達。夏が終わるまでには、「最低でも高校通算20本、もし23~25本くらい打てたら最高です」と高く目標を見据えている。

[page_break:スプリットステップを採用し守備技術も成長]

スプリットステップを採用し守備技術も成長

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市丸紘樹(唐津商)※写真提供=唐津商野球部

 もう1つのストロングポイントである守備は足運びの改善が成長のカギと考えている。

 「下級生の時に比べると足を使って流れの中でプレーをすることができて、打球を合わせられるようになりました。おかげでエラーも減らすことも出来ました」

 市丸が取り入れたのは、投手の投球時に一瞬だけ両足を浮かせるスプリットステップだった。
 「ノックの時から流れを意識していましたが、2年生の時に取り入れてだいぶ変わりました。スタートを切れるように、身体の状態を一度リセットさせるために、ピッチャーのモーションに合わせてジャンプしていますが、動きやすくなりました」

 メジャーリーガーを先駆けに、日本の野球にも浸透しているスプリットステップ。実際に取り入れたことで、失策数も減少。他の課題でもあった腰高の構えや球際の強さなど、1つずつ解消してきた。

 さらに、この1年間は主将としてチームを牽引。市丸自身の野球人生でも初めての経験で、「まとめられるか不安でした」と苦笑いをするが、得られたものが大きかった。
 「副将をはじめ3年生全員に助けられたので、1年間できました。周りに的確な指示を出したり、気配りなど視野を広くもって動けるようになりました」

 吉冨監督は主将・市丸についてこう評価する。
 「声は出るようになりましたし、リーダーシップも出てきた。周りもしっかり見れるようになりました」

 夏の甲子園は無くなってしまったが、佐賀県では独自の大会が開催されることとなっている。「最後の大会ですので、堅くならずに、いつも通りの活躍が出来ればと思います」と平常心で最後の大会に挑むことを誓った。

 吉冨監督の話では、上のステージを見据えてバッティング練習では竹バットを使うなど、高い意識をもって市丸は練習に取り組んでいる。1年生の夏から公式戦に出場し、高い意識を持ち続けて成長した市丸の集大成の舞台での活躍に期待したい。

(記事=田中 裕毅

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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