島根に現れたスローイングタイム1.8秒台の強肩強打の捕手・岡田歩大(三刀屋)の成長の秘密
昨春の県大会準優勝、昨夏はベスト8と島根県でも上位に勝ち進む公立校・三刀屋に注目の強肩強打の捕手がいる。
その名が岡田歩大だ。180センチ80キロと恵まれた体格から打撃では高校通算14本塁打を記録し、スローイングタイム1.8秒台をマークし、実力は素晴らしいものがある。
現在は4番捕手と主将を務め、チームの大黒柱である岡田の成長の歩みを追っていきたい。
一流捕手の映像を見てスローイングを研究
岡田歩大(三刀屋)
小学校から捕手を始めた岡田の当時の憧れは阿部慎之助(現・巨人二軍監督)。雲南市加茂中でも捕手として活躍。三刀屋ともう1つの学校でいくか迷ったが、「これから強くなっていく感じがしましたし、監督の國分先生にも惹かれて三刀屋の進学を決めました」
高校1年生のときは175センチ68キロと細身で、打撃も今ほどのパワーがなく、肩の強さもなかった。トレーナーの指導により体作りにしっかりと励んだこと。また成長期にあったことで、この高校3年間で180センチ80キロまでサイズアップに成功した。
打撃については國分監督に打撃指導してもらい、練習以外ではいろいろな選手の打撃の動画を見ては、自分にあうもの、合わないものは取捨選択を行い、さらにスイングスピードを高めるために量を重視して振り込みを重ね、高校通算10本塁打以上の長打力を身に着けた。
そして守備では高校入学後セカンド・ショートのレギュラーとして試合に出場してきたが、2年秋の大会終了後にチーム事情から捕手に転向することとなった。
まず自慢のスローイングでは、巨人の小林誠司(広島広陵出身)、福岡ソフトバンクの甲斐拓也(楊志館出身)のスローイングを研究し、どうすれば自分の体の使い方に合うものを取り入れた。
結果的にスローイングのポイントについては「体重移動だけですぐ握り変えて投げる」ことを意識し、今年の練習で「スローイングを測ってもらったら、1.8秒台を計測するようになっていました」と高校生トップクラスのスローイング技術を習得した。
さらにキャッチングについては、昨年の中国大会ベスト8の矢上を率いる山本翔監督から教わった。捕手として広島東洋カープで8年間プレーし、広島経済大などで監督を務めるなど、プロ野球選手としての経験だけではなく、指導経験も豊富な山本監督の指導により、
「高校ではずっと内野手としてやってきたので、キャッチングはかなり下手だったんですけど、教えていただいた練習を続けて上達してこれたと思います」と手応えを掴んでいた。
そして勝負の高校3年生。新型コロナウイルス感染拡大の影響により野球部も休部となった。だが、三刀屋はこの期間でも有意義に過ごすことができていた。グラウンドで全体練習ができない期間は不安ではあったが、Zoomを活用し、トレーナーの指導により体幹や可動域を広げるようなストレッチを行うなど、また岡田自身も自主トレを行い、体力を落とさないように努めてきた。
いつもと違う日常で岡田は「甲子園を目指しているので、甲子園が開催されることを信じてやっていました」と振り返る。そして中止になった後、「甲子園がなくなったので、中止が決まった瞬間はさすがにショックが大きかったです」と正直に語る。
それでも島根大会が開催されることを信じて、努力を続け、5月下旬に島根の独自大会「令和2年度島根県高等学校夏季野球大会」が開催されることになり、全体練習再開後も前向きに取り組むことができた。Zoomを通してトレーニングを行ってきた成果もあり、「思いの外、動けています」とブランクを感じすぎることなく、実戦へ向けて調整ができた。
そして三刀屋の初戦は17日、出雲工と対戦することが決まった。出雲工に勝利すると次戦の相手は昨秋、中国大会ベスト8だった出雲西と対戦。出雲西とは昨秋の準々決勝で対戦し1対3で敗れているため、リベンジを果たしたいところ。
岡田は「開催決定の情報が出たときは本当に嬉しかったです。もちろん大会では優勝を目指し、そして自分の野球人生がかかった大会なので、結果を残していきたい」と語るように最後の夏は三刀屋、そして自分の名を上げる大事な大会にしていきたい。
(記事=河嶋 宗一)
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