東洋vs巣鴨
新チームは5人しかいなかった東洋。新入部員15名と一致団結で巣鴨との投手戦制す!
サヨナラ勝ちに大喜びする東洋の選手たち
朝に降った雨の影響で試合開始が30分遅れたが、[stadium]江戸川区球場[/stadium]では東洋と巣鴨の一戦が行われた。
東洋先発はエース・中島律希。ノーワインドからスッと上げた右足にポンっとグラブを当ててリズムを作り、小さく回したテイクバックから左腕を振り抜く。少し担ぎ気味の投げ方をしているが、緩いカーブなどを混ぜながらピッチングを展開する。
その中島は、初回から制球が定まらず、巣鴨1番・佐藤峻登に四球を出すなど、二死満塁とすると、6番・岩井進悟には押し出し四球。ヒットを1本も許すことなく、先取点を与える形となった。
一方、援護点をもらった巣鴨の先発もエース・宮崎陽太郎。セットポジションから少しひねりながら左足を上げて軸足にタメを作る。左腕を真っすぐ出して壁を作りながら重心を前に運び、身体を縦に回転させながら腕を振り下ろす。力強いストレートを軸に勝負所で投げてくるカーブなど緩急を利かせた投球スタイルで東洋打線を抑えていく。
その宮崎から東洋は3回、4番・鈴木辰徳が詰まりながらもセンター前に運ぶなど、二死一、二塁の同点のチャンス。ここで打席の7番・中島が左中間を破る二塁打。これで二塁ランナーが生還して同点。試合を振り出しに戻した。
その後、東洋の中島はストレートが浮いていたが、中盤以降は変化球を増やしてカウントを整えてリズムを作る。巣鴨の宮崎はストレートは軸にした力で押すピッチングで勝ち越しを許さない。
両投手による投手戦の均衡が崩れたのは8回、巣鴨が一死から6番・岩井がレフト前で出塁すると、バッテリーエラーと7番・藤田悠希の四球で一死二、三塁。ここで8番・権田啓がスクイズ。それに気づいた東洋バッテリーも外角高めに外したが、権田の執念が勝り、何とかバットに当てて巣鴨が一時勝ち越しに成功した。
だが最終回、東洋は先頭の3番・柏倉琢磨が二塁打で出塁すると、4番・鈴木の鋭い打球がサード襲い内野安打。その間に柏倉が生還して同点。勢いのそのままに6番・手塚純がセンター前へヒット。センターの佐藤も飛び込んだが、ボールは誰もいないライトの方に転がり、ゲームセット。東洋がサヨナラ勝ちで巣鴨を下した。
試合後、東洋主将の中島は「嬉しいです。勝てて良かったです」とサヨナラ勝ちを喜んでいることがわかる笑顔だった。東洋は新チームスタート時は2学年で5人。単独での出場はできなくなり、昨秋の予選は合同チームとなって挑んだ。最後の夏に単独出場するべく中島主将を中心に新入部員を集めて6月から15名が入部した。
巣鴨戦でも1年生4人がスタメンに名を連ねるなど、3学年が1つになってもぎ取った1勝だった。その上で、「立ち上がりがよくなかったので、次はしっかり試合を作っていきたい」と次の試合に向けての課題を出した。
一方、敗れた巣鴨のエース・宮崎は、「最後は縦のスライダーでした。高めに抜ける投げミスでしたし、外野まで運ばれた自分のミスです」と懸命に守ってくれたナインをかばった。
最速145キロを計測する宮崎だが、2年生の時は120キロほど。そこから腕の高さをスリークォーターに変えたり、千賀滉大や山本由伸といったプロ選手の投球フォームを分析。参考にできる箇所は自身のフォームに取り入れるなど、1年間かけてフォームの改善に努めてきた。同時に球速と回転数を測り続けることで、数字で自分の実力を常に確認し続けてきたことが成長に繋がった。
最後に大学での野球継続を語った宮崎。次なるステージでの飛躍を楽しみにしたい。
記事=田中 裕毅