井上広大がリーグトップの3本塁打!常総のバレンティンこと菊田拡和が存在感放つ
プロ野球開幕から約1ヵ月が経過した。本連載のメインテーマである「高卒新人」たちも多くがファームで輝きを放ち、石川昂弥、岡林勇希らは一軍デビューも飾った。第5回では、8人が規定打席に到達している野手を見ていく。
井上広大がOPS.8超え間近
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左から、井上広大、菊田拡和
7月19日終了時点で、ファームの規定打席に到達している高卒野手は8人。さらに、チーム試合数の関係で規定打席にこそ到達していないが、同等の打席数をクリアしている選手も2人いる。今回は彼らのOPSをメインに見ていこう。
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開幕からファームの四番に座り続けている、阪神の井上広大(履正社)が好調だ。2週間前と比べて打率こそ変わらないが、この間に2本塁打を放つなど長打率が上がり、対象選手の中ではOPS.788とトップに躍り出た。59打席で21三振はやや多いが、併殺打0は右打ちの強打者としては注目に値する数字だ。
中日の岡林勇希(菰野)も、OPS.725と、2週間前の.666から大きく上げている。12安打全てが単打と、長打力はまだ発揮できていないが、そのバットコントロールでリーグ4位の打率.316をマークしている。7月19日には同期の石川昂弥に続いて一軍昇格、初出場を果たした。
東京ヤクルトの武岡龍世(八戸学院光星)も、OPS.708と前回の.501から大きく上げている。初本塁打を放つなど長打も増えており、長打率、出塁率とも大幅に向上した。
この2週間で出場数を伸ばした巨人の菊田拡和(常総学院)も、規定打席に到達した。三軍では8試合で打率.174と苦しんだが、イースタン・リーグでは10試合で打率.257、OPS.611と成績を上げた。「常総のバレンティン」の異名をとったその長打力を見せ始めている。
東京ヤクルト・長岡秀樹(八千代松陰)、東北楽天・黒川史陽(智辯和歌山)、オリックス・紅林弘太郎(駿河総合)、広島東洋・韮沢雄也(花咲徳栄)らはOPS.600未満となっている。現状ではややプロの球に苦戦していると言えるが、経験値という点では順調に積んでいるところだ。チーム試合数の関係で規定打席にこそ達していないが、阪神・遠藤成(東海大相模)、広島東洋・木下元秀(敦賀気比)も同等の打席に立っている。
また、横浜DeNA・東妻純平(智辯和歌山)、巨人・山瀬慎之助(星稜)、阪神・藤田健斗(中京学院大中京)ら捕手陣も、徐々に出場を増やしている。経験がモノをいうポジションなだけに、まずはファームで正捕手の座を掴みにいきたいところだ。
最後になったが、今年の高卒新人では中日の石川昂弥(東邦)が一軍デビュー一番乗りを果たした。5試合で17打数1安打と苦しんでいるが、プロ初打席で低めの変化球をうまくさばき、レフト線へのツーベースとした打撃はさすがの技術だった。岡林の初安打は次戦以降に持ち越しとなったが、竜の将来を背負って立つ2人が揃って一軍の舞台に立てたことは、大きな経験値となるだろう。
今回は井上、岡林、武岡と成績を上げた選手を紹介することができた。数字上ではあるが、若手選手の成長というのはファンとしてはワクワクするものである。次回以降も、ルーキーたちの成長をお届けできることを願っている。
データ協力: やきうのおじさん(@yakuunoojisan)
Twitterで野球の分析を行う。本記事のデータはすべて日本野球機構(NPB)のオープンデータを使用。
(記事=林 龍也)
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