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中学時代はベンチ外の外野手。143キロ右腕へ成長した松崎公亮(聖徳学園)のプロセス

2020.07.31

中学時代はベンチ外の外野手。143キロ右腕へ成長した松崎公亮(聖徳学園)のプロセス | 高校野球ドットコム
松崎公亮(聖徳学園)

 7月30日、注目の試合が実現した。聖徳学園松崎公亮はこの対決を楽しみにしていた。同じ調布シニア出身の創価のエース・森畑侑大との投げ合いが実現するかもしれないと思ったからだ。

 ただ松崎は7月28日の明大明治戦で完投勝利を挙げた後、腰を痛めている。登板しない選択肢もあったが、創価戦で投げたいという気持ちが強かった。志願の先発となったが、調子が上がらない。速球は最速138キロをマークしたが、コントロールがままならず、スライダー、カーブもストライクが入らず、創価打線に次々と打ち込まれ一死しか取れず、降板。結果的に12失点となった。
松崎は「非常に悔しいです」と肩を落としたが、改めて高いレベルを知れる良い機会となった。
「ボール球を振らないですし、本当に強いチームと対戦できてよかったです」

 中学時代は外野手。3年生の時はベンチ外だった。聖徳学園の練習を見学し、入学が決まった。そして入学後、中里監督は松崎の腕の振りの良さを見て、投手転向が決まった。速球投手になるまでの道のりはつらいものだった。来る日もネットスローやフォーム固めのドリル。一時期は投手をやめたい気持ちもあったが、それでも踏みとどまり、才能を伸ばしていった。そして自分のやる気を掻き立てるきっかけがあった。それが、聖徳学園OBの長谷川宙輝(東京ヤクルト)の存在だ。長谷川も中学時代、全くの無名で、カーブ投手だったところからスタートし、中里監督のマンツーマン指導で成長していった投手だ。

 長谷川をオフに間近で見て「プロの投手はこんなに大きいのかと思いました」と驚き、身近にいるプロの先輩を見て、努力を行い、最速143キロをマークするまでに。中里監督からも「あいつも長谷川のおかげで、プロというものを意識しました」と成長を認める。

 投げ合いは実現しなかったが、森畑は「確かにボールが速くなったと思っています」とかつてのチームメイトの成長を語る。

 また森畑も三者連続三振を奪う快投を見せたが、松崎は「うちだからというのもあるのか、まだ手を抜いているなと思いました(笑)」。

もっとあいつはすごいボールを投げられると思うのだろう。

 中学時代、ベンチ外の外野手だった松崎は143キロ右腕、6番手投手の森畑は146キロ右腕として成長し、都内でも好投手としてマークされる存在となった。

 最終的な目標はNPB。だが、現状の力量ではまだいけるレベルではないということは誰よりも分かっている。どのステップを歩むのかはこれからになるが、182センチ78キロという体格の良さ、フォームの良さ、球質の良さを見れば、明らかに逸材だというのが分かる。いずれは150キロ台も見込める可能性を持った松崎の今後の成長に期待したい。

(記事=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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