広島はどうする? 中村奨成ら捕手4人の起用法
中村奨成(広陵高→広島1位)
今年高卒3年目を迎える2017年ドラフト指名組。すでに村上宗隆(九州学院高→ヤクルト1位)が、目覚ましい活躍を見せているが、ドラフト時の評価は清宮幸太郎(早稲田実業→日本ハム1位)、安田尚憲(履正社高→ロッテ1位)の2人が抜けていた。
そんな彼らと同等以上に評価されていたのが、夏の甲子園では史上最多となる6本塁打を記録し、チームを準優勝に導いた中村奨成(広陵高→広島1位)である。そんな中村が、7月25日にプロ入り以来初めて一軍に上がってきた。
中村は昨シーズンまで一軍での出場機会はなく、また故障もあり、目立った成績を残すことができていないかった。しかし今シーズンは、ファームで打率.339(56打数19安打)とウエスタンリーグでトップと打撃面では大きな成長を遂げている。
一軍昇格後はここまでは代打での3試合のみの出場であり、安打は生まれていない。また、マスクをかぶる機会も訪れていない。すぐのレギュラー奪取はむずかしいにしても、少ない出場機会の中でもなにかの手応えをつかみたいところだろう。
現在の広島は會澤翼、磯村嘉孝、坂倉将吾と中村以外にも捕手での登録が3人いる。いずれも打撃面で優れており、中村にとっては超えなければいけない大きな壁だ。
そして、この中では最年長となる會澤も今年32歳とまだ若い。さらに磯村は28歳、坂倉に至っては22歳とまだ20代。とくに坂倉は21歳の中村と1歳しか変わらない。石原慶幸から會澤へレギュラーが交代したような、「世代交代」という形でレギュラーになる道はほとんどないのである。
優秀な若い捕手陣たちをどのように育成、あるいはコンバートを活用してチームにフィットさせていくかが、今後のチーム状況に与える影響は大きい。もちろん若い捕手をトレードに出して、その他の手薄なポジションを補強するという考え方だってある。
近年のプロ野球は捕手の併用性が主流とはいえ、4人を併用するという例は見かけない。今シーズンは新型コロナウイルスの影響もあり、一軍登録人数(29人→31人)とベンチ入り人数(25人→26人)が拡大されている。その恩恵がなくなるであろう来シーズン以降、どのようなプランを持って広島は若き捕手陣を起用していくのだろうか。今から楽しみだ。
(記事:勝田聡)