試合レポート

大阪桐蔭vs東海大相模

2020.08.17

今大会注目カードは大阪桐蔭に軍配!先発投手2人の好投が光る!

大阪桐蔭vs東海大相模 | 高校野球ドットコム
藤江星河 ※2019年10月27日の秋季近畿地区大会より

 まさに激闘、死闘だといってもいい実力の拮抗した一戦だった。2018年に春夏連覇した大阪桐蔭。対するはアグレッシブベースボールを掲げ、2015年に日本一に輝いた東海大相模。東西の超名門が激突した。

 戦前から多くの注目を集めた一戦は初回、大阪桐蔭が1番・池田陵真のフェンス直撃の二塁打でチャンスを作る。続く加藤巧也のファーストゴロで池田はアウトとなったが、それから加藤が三塁まで進むと、5番・吉安遼哉のタイムリーで先制に成功した。

 このリードを守ったのがエース・藤江星河だった。
 セットポジションからの足を高く上げて軸足にタメを作り、その力を逃すことなく重心移動して角度のつけたボールを投げ込んでいく。そこから最大の武器であるチェンジアップやスライダーなどの変化球もストライクゾーン近辺に集まり、バッターは手を出さざるを得ない。

 昨夏も東海大相模近江林優樹(現西濃運輸)のチェンジアップに苦戦を強いられたが、それと似たタイプの投手をぶつけられたと考えていいだろう。その一方で対戦した4番の西川僚祐は「林さん以上にストレートに勢いがあった」と違いを語る。

 確かに藤江は140キロ前後をマークするストレートが持ち味でもあるクロスファイヤーに決まるなど、コーナーを広く使う投球も武器の1つ。そのボールがあるからこそ、的を絞り切れずに東海大相模の打撃が発揮できなかったのだ。

 だが、大阪桐蔭も2回以降は沈黙。東海大相模の先発を担った背番号10・石田隼都が好投を魅せる。ピッチングは藤江と似た、角度の透けたストレートに大きく曲がるスライダーを駆使するサウスポー。だが考える時間を与えないハイテンポの投球が大きかったと考えられる。

 石田はキャッチャーからボールを受けてから1.6秒前後でモーションに入っていた。これが結果として大阪桐蔭打線を封じることに繋がった。



大阪桐蔭vs東海大相模 | 高校野球ドットコム
石田隼都 ※2019年9月14日の秋季神奈川県大会より

 両投手の好投もあり、試合はテンポよく進んでいき、7回を迎えた。
 追いかける東海大相模は3番・加藤響の四球と4番・西川のライト前でチャンスを作ると、6番・神里陸のフラフラと上がったフライが前進守備の内野と外野の間に落ちて逆転した。

 これで一気に行くかと思われたが、大阪桐蔭は直後の攻撃で2番・加藤の犠牲フライですぐさま同点。決着は終盤となった。

 そして8回、大阪桐蔭が4番・船曳烈士のヒットからチャンスを作り、一死二、三塁で途中出場の薮井駿之裕のライトへの勝ち越し打で試合を決めた。東西の名門対決は大阪桐蔭の4対2で幕を下ろした。

 控え選手を多く使いながら勝利した大阪桐蔭。一方で神奈川の独自大会による疲労もあるなか名勝負を見せた東海大相模山村崇嘉主将は「大阪桐蔭横浜は一番意識しているライバルです。ただ戦ってみれば強かったですし、勝てなかったのは悔しいです」と試合を振り返った。

 大阪桐蔭はこの試合で公式戦が終了。東海大相模は準々決勝へ進む。甲子園を経験した選手たちがそれぞれの舞台で何を活かすのか楽しみにしたい。

(取材=田中 裕毅)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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