試合レポート

藤枝明誠vs常葉大橘

2020.09.23

藤枝明誠、繋いでいって14安打、コールドで常葉大橘を下して4強

藤枝明誠vs常葉大橘 | 高校野球ドットコムダイナミックに足を上げる藤枝明誠の小林君

 昨秋の優勝校でもある藤枝明誠。この秋の新チームは、夏までのメンバーからほとんど入れ替わった状態となった。中部地区の一次予選もベスト8止まりだった。それでも、県大会に入って富士宮西を下し、一昨日の2回戦では西部地区1位校で優勝候補にも挙げ競れていた掛川西を下しての準々決勝となった。強豪を下して「ちょっと、ホッとして気持ちが緩んだところもあったかもしれない」と心配していた光岡孝監督だったが、そんな心配はなく、予想以上のスコアでのコールド勝ちとなった。

 藤枝明誠は2回、先頭の5番西岡君が右前打で出ると手堅くバントで進め一死二塁。萩原君は右前打でつないで、好走よく二塁を陥れて一死二三塁。8番小林君のスクイズで先制。さらに四球後、相手失策があって2点目。なおも高下君が内野安打で満塁。ここで1年生の背番号17ながら「このところ打撃がよくなってきていたので3番に入れた」と光岡監督の起用に応えて、左前打で2者を返しこの回4点が入った。

 藤枝明誠は4回にも常葉大橘の望月君を攻めて、9番の岩田君の左前打から始まり、宮城君が繋ぎ、バント後青木君がここでも右前へ2点タイムリー。四球後、西岡君が中江越三塁打してついに望月君をKOする形になった。さらに、代わった山本君からも萩原君がタイムリーを放ちこの回5点。試合前の予想とは裏腹に、よもやの大差の展開となっていった。

 それでも、常葉大橘も6回に死四球とバント、暴投で1点を返すが、焼け石に水だった。藤枝明誠は、その裏すぐに萩原君のタイムリー二塁打で失点した分を取り返した。このあたりは、チームとしての勝負強さというか、意識の高さは示したと言えようか。

 小林君は7回を4安打散発に抑えて1失点。中学時代はほとんど投手経験はないというが、リストの強さもあって、足をダイナミックに上げていくフォームから、切れのいいスライダーと柔らかさがあって、大崩れはしないだろうなという印象である。

 イメージ以上の快勝だったが、光岡監督は、「選手たちはまだまだ発展途上。去年のチームはこの段階で90%くらい仕上がっていたのですが、今のチームはまだ50%程度の仕上がりです。だけど、その分チームとしての伸びしろは大いに期待できると思っています。そういう意味でも、こうして4つに残れて確実にあと2試合できるわけですから、楽しみです」と、まだまだチームの成長の期待しながら、去年は東海大会ベスト4まで進出しながらあと一つのところでセンバツ切符を逃しており、そこへの期待感も大いに感じていると見た。

 思わぬ大敗となってしまった常葉大橘の片平恭介監督は、「接戦になると予想していたんですけれどもね…、負けるときというのはこういうパターンなのでしょうね。2回は1点はしょうがないとしても、その後に失策で与えた点が痛かったですね。それがなければ、まったく違った展開になって行けたとは思うんですけれども、そういうところも含めてチームの弱さですから…。一つのミスが大きな痛手になるということを実感しました」と、来春以降へ向けてメンタル面も含めて、立て直しをしていくつもりである。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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