試合レポート

日大三vs日大豊山

2020.11.07

日大三、攻守にわたり活躍した鎌田の逆転三塁打で日大対決を制する

日大三vs日大豊山 | 高校野球ドットコム
日大三の選手たち

【フォトギャラリーはこちら】

 日大対決となった準々決勝の最初の試合は、日大三宇山翼日大豊山玉井皓一郎という両左腕の投手の快調な立ち上がりで幕を開けた。

 最初に得点を挙げたのは日大豊山だった。3回裏、内野安打を含む3連打で一死満塁とし、勝負強い2番で主将の小川慶人がフルカウントまで粘った末に、レフト前に適時打を打ち、2人が生還した。「ストライクを取りに来るスライダーを狙っていました」と小川は言う。

 しかしリードしたのも束の間、4回表、日大豊山の玉井の制球が突然乱れる。1安打と2つの四球で一死満塁となり、打席には日大三の7番・鎌田慎也を迎える。「緊張していました」と言う鎌田だが、6球目をしっかり叩いた打球が右中間を破り満塁の走者を一掃する三塁打となり、日大三は一気に逆転した。日大三はこの回、1番・星憂芽の左前適時打などで5点を挙げている。

 5回表は、玉井に代わりマウンドに上がった荒木慈安が乱れ、2四死球にバッテリーエラーで一死二、三塁となり、8番・安田和輝の遊ゴロが野選となり、日大三がさらに1点を追加した。

 日大三は7回表には一死二、三塁のチャンスを迎えたが、日大豊山の左翼手・井原亮介、右翼手・義金大空が続けて好守をみせ、日大豊山も踏ん張る。

 しかし日大豊山は4回以降立ち直った日大三の宇山から得点のチャンスを作れない。8回裏は、この回先頭の2番・小川が二塁打を放ったが、続く3番・義金に代わる代打・三沢峻平の三遊間奥深くの打球を、日大三の遊撃手・鎌田が、好捕し一塁への送球も良く、チャンスを広げることができない。一方日大三の遊撃手の鎌田は、攻守にわたる活躍で、好投の宇山を助ける。

 宇山は9回裏も日大豊山の攻撃を三者凡退に抑える。宇山は3回裏こそ4安打を打たれたものの、その後は8回の小川の二塁打以外は安打を打たれず、奪三振は10で完投。6対2で日大対決を制し、3年ぶりに準決勝進出を決めた。一方日大豊山は、3年前の準決勝で敗れたのに続き、日大三の壁を破ることはできなかった。

 日大豊山の福島直也監督は、「リードされても、誰も諦めていませんでしたが、まだまだですね」と言って、肩を落とした。玉井、荒木、足立丈に、この試合は投げなかった森燿太郎ら、力のある投手がいるだけに、今後を期待したい。

 勝った日大三の小倉全由監督は、「なかなか点が取れない」と言うように、打線はかつての破壊力はない。それでも、主戦投手の宇山を中心に守りはしっかりとしており、新スタイルの日大三の戦いぶりが注目される。


 ダイワハウススタジアム八王子の第1試合、秋季東京大会準々決勝・日大三日大豊山の一戦のスターティングメンバーはこちら。

【先攻:日大三
1番(中)星 憂芽
2番(二)齋藤 広空
3番(右)井坪 朝陽
4番(左)山岡 航大
5番(一)林 夢人
6番(三)川島 柾之
7番(遊)鎌田 慎也
8番(捕)安田 和輝
9番(投)宇山 翼
先発・宇山 翼

【後攻:日大豊山
1番(中)髙橋 啓斗
2番(二)小川 慶人
3番(右)義金 大空
4番(三)飯島 渉太
5番(一)市沢 怜
6番(左)井原 亮介
7番(遊)和田 颯生
8番(投)玉井 皓一朗
9番(捕)狩野 光晴
先発・玉井 皓一朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.25

昨夏甲子園16強・北海の卒業生進路紹介!元巨人外野手の息子らが中央大、147キロ右腕は社会人へ

2024.06.25

【南北海道】函館支部では第3シードの函館西と函館大有斗が初戦に挑む【2024夏の甲子園】

2024.06.25

【南北海道】室蘭支部では、第2シード苫小牧工が代表決定戦進出を狙う【2024夏の甲子園】

2024.06.25

【滋賀】組み合わせ決まる!近江がいきなり彦根東と対戦<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.25

【南北海道】小樽支部予選が26日に開幕!8年連続代表校の北照が登場【2024夏の甲子園】

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.21

沖縄大会が22日開幕!八重山商工、宮古、小禄が登場、開幕戦での白星一番乗りは?【2024夏の甲子園】

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】