試合レポート

松山vs東農大三

2021.04.12

松山が好継投で接戦を制し初戦突破

松山vs東農大三 | 高校野球ドットコム
松山3番手・町田大成

 [stadium]上尾市民球場[/stadium]の第一試合は埼玉松山対東農大三という北部地区の実力校同士の一戦となった。

 先発は埼玉松山が左腕・中島健心(3年)、東農大三加藤竜馬(3年)と両エースが先発し試合が始まる。

 中島は制球力と変化球を交えた緩急を持ち味とする技巧派左腕であり、加藤(竜)は威力のあるストレートを中心に組み立てるオーソドックスな右腕である。

 試合は両エースがその持ち味を発揮し前評判通りの1点を争う好ゲームとなる。

 先制したのは埼玉松山であった。3回表この回先頭の町田大成(3年)が四球を選び出塁すると、続く福島翔吾(2年)が右中間へ二塁打を放ち無死二、三塁とチャンスを広げる。一死後3番・太刀川嵐(3年)がライトへ犠飛を放ち1点を先制する。

 埼玉松山は4回表にも一死から6番・嶋口颯(2年)がライト越えの二塁打を放ち出塁すると、続く中島もライト前ヒットを放ち一死一、三塁とする。ここで8番・長島匡平(2年)がスクイズを決めきっちりと2点目を奪う。

 これで流れを掴んだ埼玉松山は6回表にもこの回先頭の嶋口が四球を選び出塁すると、続く中島もセンター前ヒットを放ち一走・嶋口は一気に三塁へと進み無死一、三塁とする。ここで8番・長島はセカンドゴロ併殺に倒れるが、二遊間が「後ろゲッツー」のシフトを取っていたため、その間に三走・嶋口が本塁生還し埼玉松山がさらに1点を追加し3点差をつける。

 ここまで東農大三打線は5回まで埼玉松山・中島の前に1安打無失点に抑えられていた。しかも無死一、三塁で下位打線ということもあり、この3点目は致し方ないというチームの判断がその後の試合展開にどう出るかという所であった。だが、打線がすぐにその一抹の不安を払拭して見せる。

 東農大三は6回裏、この回先頭の山口武琉(3年)がレフト前ヒットを放ち出塁すると、一死後5番・橋本拓希(2年)の所で2盗を決め一死二塁とする。ここで橋本がセンター前タイムリーを放ちまず1点、さらに二死後7番・生田隼大(3年)がライト越えのタイムリー三塁打を放つと、続く加藤(竜)もレフト越えのタイムリー二塁打を放ち東農大三が一気に3対3の同点に追いつく。このあたりのゲームマネージメントは東農大三・高廣采配がズバリといった所であった。

 同点になり勢いに乗る東農大三は7回裏も先頭の加藤優弥(2年)がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く丸山幸輝(3年)の所で東農大三ベンチは送りバントのサインを出す。だが、3ボール1ストライクから丸山は送りバントを試みるが打球が上がり失敗に終わる。後続も2番手左腕・佐藤芳樹(3年)の前に凡退し得点を奪えない。

 東農大三は8回裏にもこの回先頭の橋本がショートへの内野安打を放ち出塁すると、続く新井涼介(3年)の所で一走・橋本が盗塁を試みるがこれも失敗に終わる。後続も倒れまたしてもチャンスを広げられずに終わる。

 一方、東農大三の加藤(竜)は球数が100球を超えた8回に疲れからか突如制球を乱す。8回表一死から嶋口、中島、代打・長谷虎太郎(3年)に3連続四球を与え一死満塁とすると、9番・町田にセンター前タイムリーを浴び埼玉松山に勝ち越し点を与える。


 このままでは終われない東農大三は1点を追う最終回反撃を見せる。この回先頭の加藤(竜)がライト前ヒットを放ち出塁すると、続く前川祐希(3年)のカウントも2ボールとなる。

 すると、ここで埼玉松山・瀧島監督が動く。2番手・佐藤を諦め、3番手にショートの町田をマウンドへ送る。町田は前川には送られ一死二塁とされるが、後続をきっちりと打ち取り無失点で切り抜ける。結局埼玉松山が4対3で逃げ切り東農大三に競り勝った。

 一方の東農大三も中盤の粘りは見事であったが、終盤1点を争う場面での攻撃面でのミスと簡単に四球を与えた部分が大きかった。高廣監督もエース加藤竜の昨秋からの成長も認めつつ「この日先頭打者へ四球を与えそれが失点に絡むケースが多かった」と指摘していた。加藤竜は良いストレートを持っているだけにそのあたりが夏に向けての課題となるであろう。

 一方の埼玉松山だが、瀧島監督は最終回の継投について
 「あの場面は四球を与え逆転の走者を出すのが嫌だった。町田は流れを切りに行く所でショートイニングでと考えていた。同点まではOKと考えていたんですが、選手がこちらのビジョンに応えてくれました」
としたり顔であった。

 内野の乱れなどまだまだ不安材料はあるが、それもこのコロナの状況下で瀧島監督は折込済みだ。今大会はあくまで今できる事を目一杯というスタンスで選手に伸び伸びプレーさせるが、投手陣は中島を中心とし失点の計算ができる3人がいるだけに一戦一戦経験を積めば面白い存在になる可能性を秘めている。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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