試合レポート

中京vs津田学園

2021.05.23

点の取り合いとなった乱戦は、岐阜中京が前半リードを逃げ切る

中京vs津田学園 | 高校野球ドットコム
6回二死二塁のピンチで再リリーフした中京・小田君

 今年は、例年よりも3週間ほども早く梅雨入りしてしまったという東海地方である。先日は記録的とも言える5月の大雨となって、当初予定されていた、20日から結局2日遅れての開幕となった春季東海地区大会。

 [stadium]四日市緑地公園霞ケ浦球場[/stadium]の開幕試合は、三重県2位の津田学園と岐阜県1位の岐阜中京の対戦となった。岐阜中京は、一昨年夏の甲子園ではベスト4に進出を果たしている(当時、中京学院大中京)という実績がある。津田学園も2年前には春夏連続の甲子園出場を果たしている。近年は県内でも躍進中の強豪である。

 そんな対決だったが、試合は当初のロースコアの試合かなという予想とは裏腹な展開となっていった。

 まずは、岐阜中京が二死満塁から6番加藤君の中前打で2点先取。しかし、その裏すぐに津田学園も二塁打の犬飼君を3番神田君が帰して1点差。

 その後は、岐阜中京がこの日公式戦初スタメンという8番島田君が左越ソロを放つと、さらに四死球でチャンスを作り4番小田君の三塁打などで2点追加。3回にも津田学園の先発越智君をリリーフした岩永君から、9番杉本君のタイムリーなどで3点。展開としては、岐阜中京のワンサイドになっていくのかという感じでもあった。

 ところが、津田学園は5回に出口君の三塁打と坂本君の内野ゴロで1点を返してコールドスコアを詰めたことで少し流れが変わった。

 5回の整備を挟んで6回の前に、津田学園の佐川竜朗監督は、「6回裏に点取れる流れを作っていこう」ということを選手たちに伝えたと言うが、表に小田君のタイムリー打や5番浦川君の犠飛で3点を追加されてコールドスコアとされながらも、その裏に5点を返して詰めていく。

 この回の津田学園は、打者一巡で4番川瀬君はじめ、8番の途中出場の坂本君と代打三林君と3本の二塁打などで5点を返した。ベンチからも、元気のいい声が飛び交っていた。


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津田学園・窪田勇成君

 5回までワンサイド気味、もしかしたらコールドゲームもありかなと言う流れが、一挙に試合そのものがわからなくなってきたという展開になった。

 津田学園は8回には7番出口君、9回には相手失策絡みで2点差まで追い上げた。それでも、最後は岐阜中京が何とか逃げ切った。岐阜中京は、この春からのパターンでもある小田君が先発して試合を作って、間に1人もしくは2人を挟んで、再度小田君で抑えるという形で何とか逃げ切った。

 ただ、橋本哲也監督としては、「定番の継投だったのだけれども、今日は加藤があまりにも相手のリズムにハマってしまってしまったのは誤算だった」ということで、一塁からリリーフした加藤君が6回1イニング持たなかったのは計算外だったようだ。それでも、「序盤に点を取っておきながら、追い詰められていくというのは、このチームのパターン」と苦笑する。こういう展開はある程度は覚悟をしていた様子だった。

 津田学園の佐川監督は、「前半の入りの悪さが、出てしまったよくない形」と反省しながらも、「大きくリードされても、追い上げていかれたところは、このチームの成長」と評価していた。

 そして、夏を見据えては、「甲子園へ行った時のチームに比べると、やはり投手陣の弱さは否定出来ない。これから夏までに、1試合を2人くらいで任せられるくらいの投手を育てていかなくてはいけない」ということを最大のテーマとしていた。

(取材・写真=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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