「勝ち星が多くても優勝できない」コロナ禍の影響はこんなところにも
ロッテ・佐々木 朗希、オリックス・宮城 大弥
今年のプロ野球はシーズン最終盤に突入した。セ・リーグはヤクルトのマジックは3、パ・リーグはロッテがマジック5。優勝へのカウントダウンは始まっているが、2位チームの頑張り次第では、もつれにもつれそうな気配がしている。セ・リーグもパ・リーグも、最終戦で優勝が決まる可能性すら見えてくる。
そして、あくまで数字上の話ではあるが、「珍現象」が実現する可能性がある。まずはセ・リーグから見てみる。上位チームの22日現在の勝敗表だ。
セ・リーグ
1位 ヤクルト 71勝49敗18分け 残り5試合=M3
2位 阪神 76勝55敗9分け 残り3試合
3位 巨人 60勝61敗20分け 残り2試合
4位 広島 60勝67敗11分け 残り5試合
阪神は残り3試合、すべて勝利しても、ヤクルトが残り5試合で3勝すればヤクルトが優勝となる。仮にそうなった場合、両者の勝ち星は阪神が79勝、ヤクルトが74勝となる。リーグ優勝は勝率で決まる。阪神とヤクルトの引き分け数が9差あり、こんな逆転現象が起きる。
極端な話だが、ヤクルトは残り5試合、1勝も出来なかったが、負けなかった場合どうなるか。つまり、すべて引き分けた場合、現在の勝率.592がそのまま維持されることになり、阪神がすべて勝利した場合の勝率.590を上回ることができる。5引き分けとなることはないと思うが、延長戦がないルール上、ありえない話ではない。
パ・リーグの22日現在の勝敗表は以下の通り。
パ・リーグ
1位 オリックス 69勝55敗18分け 残り1試合
2位 ロッテ 65勝53敗19分け 残り6試合=M5
3位 楽天 64勝60敗15分け 残り4試合
4位 ソフトバンク 58勝61敗21分け 残り3試合
現状2位のロッテにマジックが点灯していることからして、もう異例のことなのだが、オリックスは残り1試合に勝利しても、ロッテは計算上、一番少ない勝利数の3勝でも、負けなくて3分けなら勝率で上回る。この場合はロッテの勝ち星は68勝。70勝したオリックスよりも少なくても優勝できる。
以上のパターンでそれぞれリーグ優勝が決まった場合、阪神は頑張って勝ち星を増やし、両リーグ合わせてトップの79勝を挙げても優勝できず、ロッテは優勝争いをしている両リーグ2チームずつの4チームのなかで最低の68勝で優勝することになる。
昨年から新型コロナウイルスの影響で延長戦はなく9回で終了する。だから、当然引き分けが多くなる。勝率でリーグ優勝が決まるので、いかに負けずに引き分けていくかが大事とは言われているが、新型コロナウイルスの影響は、こんなところにも出ている。