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3年連続センバツへ 今年の天理の注目選手は?【後編】

2022.01.14

 全国屈指の名門として名高い天理(奈良)。昨秋の近畿大会でも4強入りを果たし、3年連続のセンバツ出場をほぼ手中に収めた。25年ぶりのセンバツ頂点への挑戦。今回は冬のトレーニングから今後の課題に迫る。

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個々でレベルアップ

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アップ風景

 昨年11月に行った香川県での招待試合を最後に2021年の対外試合を終え、練習内容をトレーニング中心に切り替えた。守備練習はポジションノック、打撃練習はロングティーなど実戦練習よりも技術練習に多く時間を割き、個々のレベルアップを図っている。

「1年の中で12月、1月が一番トレーニングできる時期だと思う」(中村 良二監督)とこの2ヶ月は春以降を見据えた土台作りに注力しており、1月下旬からは天候を見ながら徐々に実戦練習も増やしていく予定だという。

 センバツを戦う中で、投手は南澤 佑音投手(2年)が、昨年日本ハムからドラフト1位指名された達 孝太投手(3年)のような大黒柱的存在となるだろう。香川県での招待試合では2日連続で完投勝利を挙げており、連投能力があるところも証明済み。スリークォーターの精度を秋以上に高めるために、現在はフォーム固めに力を入れている。

 南澤に続く投手として名前が挙がるのは、ストレートに力のある右の嶋川 雄大投手(1年)。近畿大会でも登板しており、期待値の高い投手だ。そして、秋の大会後に台頭してきたのが、村上 洸星投手(1年)と中川 輝星投手(1年)。右の本格派・村上は140キロの速球が持ち味で、中村監督は投げっぷりの良さを評価している。中川は変化球のキレと制球力が武器の左投手。彼らの成長もあり、投手陣の層は厚みを増している。

 攻撃面では勝負強さと長打力を併せ持つ戸井 零士内野手(2年)と内藤 大翔内野手(2年)の3、4番コンビが中心。彼らを生かすためにも1、2番の出塁が課題となる。1番は秋の公式戦で8試合7盗塁の藤森 康淳内野手(2年)が固定されているが、2番は調子の良い選手が起用されるため、固定はされていない。昨秋の近畿大会では大城 志琉外野手(2年)と永井 大飛外野手(2年)が2番で起用されたことがある。基本的にあまりバントをしないチーム方針のため、2番打者の出来が攻撃の流れを大きく左右することになりそうだ。

 守備では二塁手の藤森、遊撃手の戸井、中堅手の大城が要となる。特に外野手は近畿大会の前後から選手たちで判断して大胆なポジショニングをとれるようになり、近畿大会でも長打性の当たりをポジショニングの良さでアウトにした打球がいくつかあった。「守っていて楽しいんだろうなというポジショニングができてますね」と外野守備に関しては中村監督も目を細める成長ぶりを見せている。

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野球以外の大事なもの

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ノックを打つ中村 良二監督

 選手たちの目標は日本一だ。1986年夏に主将として甲子園優勝を経験している中村監督は日本一になるために必要な要素について次のように語っている。

「実力も絶対に必要ですけど、五分五分で野球をした場合に当然、どっちかが勝って、どっちかが負けるわけじゃないですか。『じゃあ、その勝因って何?』ってなった時に僕はやっぱり野球以外の部分も関わってくるのかなと思います。思いが強いとか、運がこっちに回ってくるような行いをしているだとか、そういうところに目を向けることを僕は必要なことだと思っているんですよね。彼らが『日本一になりたい』と言ったら、日本一になるだけの厳しい言葉もかけるし、厳しい練習も僕らは課す。それがしんどい、嫌だっていうなら、そもそも日本一なんて言うなって話ですよね。だから、そこが僕は凄く大事な部分かなと思っています」

 取材日の練習中には緩慢な動きを見せた選手に対して中村監督が厳しく叱責する場面があった。日本一になる難しさを知っているからこそ、目標に見合わない行動をした選手にはハッキリと注意し、選手の願いを叶えるために必要なことを逐一説いている。

 25年ぶりのセンバツ優勝を目指して抜かりない日々を送っている天理。彼らの願いが成就する春となるだろうか。

(取材=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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