鹿児島実vs鹿児島工
「おさえてこそエース」・鹿児島工
筏 伸之助投手(鹿児島実)
<第150回九州地区高校野球鹿児島県予選:鹿児島実3-1鹿児島工>◇25日◇2回戦◇鴨池市民
鹿児島実・筏 伸之助投手(3年)、鹿児島工・椎原 稜斗投手(3年)、両先発左腕が好投し、1点を争う引き締まった好勝負となった。
先制したのは鹿児島工。4回、2死一、三塁として7番・椎原が右前に運ぶ先制適時打を放った。
鹿児島実は7回裏、先頭の5番・永井 琳(3年)が右翼に同点ソロを叩き込んだ。
これで流れをつかみ、8回は2死満塁とチャンスを作ると、6番・下清水 秀也(3年)が右越え二塁打を放ち、2点を勝ち越した。
9回表は走者を出しながらも、筏が粘り強く投げ抜き、1失点完投勝利だった。
「強豪相手に勝ち切れなくて悔しい」
鹿児島工のエース椎原は無念の思いをにじませた。昨秋は鹿児島大島、今大会は鹿児島実。力のあるチームを相手に、いずれも先制して終盤までリードしながら、あと1歩で勝ち切れなかった悔しさを続けて味わった。
昨秋は初戦で鹿児島大島の左腕・大野 稼頭央投手(3年)と投げ合い、延長12回、押し出しでサヨナラ負けした。その後、県大会を制し、九州大会で準優勝してセンバツまで手にした鹿児島大島に勝てなかった悔しさを胸に、冬のトレーニングに励んだ。制球力を磨き、カーブ、スライダー、チェンジアップと使える球種を増やした。スタミナもつけ、満を持して臨んだ鹿児島実戦だった。
球威はないが、球が小さく変化する分、相手打者のバットの芯を外す。持ち味の投球は鹿児島実相手にも十分通用し、自らのバットで先制点も叩き出して中盤まで優位に試合を進めていた。
しかし、7回に同点弾を浴び、8回は打ち取った打球でアウトをとり切れず、ピンチが広がった。6番・下清水に打たれた適時打も、打球を追って必死に差し出した右翼手のグラブがわずかに届かなかった。
投手としては不運だったかもしれないが「抑えてこそエース」と自ら背負う。「夏こそは強豪相手に勝ち切れる投手になる!」と捲土重来を誓っていた。
(記事=政 純一郎)