追浜vs横浜栄
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14得点で打ち合いを制した追浜 3、4番の連続アーチで流れ呼び込む
ホームランを打った追浜3番・佐野大陽
<春季神奈川県大会横浜南・横須賀地区予選Fブロック:追浜14-12横浜栄>◇29日◇横浜隼人高校グラウンド
県大会を目指した追浜と横浜栄の一戦は、両チーム合計26得点、試合時間は3時間を超える熱戦の末に、追浜に軍配が上がった。
先攻の追浜は初回、3番・佐野大陽内野手(3年)の一打で先取点をつかむと、4回には3対4のビハインドから、再び3番・佐野の一打で同点に追いついた。
その後、両チーム得点を奪い合って、6対9で追浜3点ビハインドで8回に入る。
1死から四球でランナーが出たところで、3番・佐野が初球をたたいて右翼席に突き刺すホームランにして8対9の1点差。さらに、ここまで3打数3安打と好調だった4番・遠藤千洋捕手(3年)が左翼席に持っていくホームランで同点に追いつく。
それから追浜は8番・鈴木颯人内野手(2年)の犠牲フライで勝ち越すと、9回にも3番・佐野が2打点を記録するなど4点を加えて勝負あり。14得点で追浜が勝利を手にした。
乱打戦の末に追浜が勝利をつかんだが、際立った存在が3番・佐野と4番・遠藤の2人だった。
6打点を挙げた3番・佐野は、173センチ、70キロと細身ではあるものの、ベンチプレス最大70キロを持ち上げるパワーを持ち、この試合でも鋭いスイングで右翼へホームランを放つことで実力を見せつけた。
後ろに体重を残しながらも、軸回転で捉えていくが、今日の活躍にはセンバツで見て学んだことが多かった。
「大阪桐蔭が市立和歌山戦で多くのホームランを打っていたので、どうして打てるのか見ていたら、タイミングを早めに取っていたので、自分も真似してみました」
これまでは、相手投手が足を下ろすところでタイミングを取っていたが、この試合は足を上げ切ったところで、始動するようにしたという。若干の違いだが、「リラックスした状態からバットを振り出すことができました」と余裕をもって打ちに行けたことが、この試合で4安打の活躍に結びついていた。
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ホームランを打った追浜4番・遠藤千洋
4番・遠藤はそれ以上にすごい。4打数4安打と4番にふさわしい打撃を見せ、特に8回の左翼へのホームランは「少しつまり気味でした」と会心の当たりでなくとも、両翼90メートルの横浜隼人グラウンドのフェンスを越えた。
178センチ、74キロの大柄な体格を生かすためにも、しっかりとテークバックをとったところから、割れを作って振り抜く。大きく力強いスイングという印象を受けたが、「鈴木誠也外野手(二松学舎大附出身)のような体に連動させた打撃フォームをイメージして、フルスイングを心掛けています」と話す。
これが高校に入って初のホームランということもあって「ダイヤモンドを回っている途中で笑みがこぼれてしまいました」と改めて喜びをかみしめていた。ただ、捕手としては12失点していることを考えると、手放しで喜べない。
「今後に向けても、今日は守備と投手陣が甘かったので、課題にしっかりと向き合いたい」と気を引き締めた。
12得点を奪って猛追を見せたものの、追浜の前にあと少し手が届かなかった横浜栄。主将の小川稜太捕手(3年)は、「自分たちのリズムで野球をすることができなかった」と一言振り返った。
本来であれば守備から入るのが横浜栄の形だったが、「神経を使う打線でしたので、追い込んでから甘い球を打たれてしまった」とマスク越しに相手打線の凄さと、敗因を詳しく語った。
ただ投手陣に関して言えば、冬場は強い球を投げることをテーマにしてきたため、「内角を突くことができれば、幅が広がると思います」とやるべきことは明確になっている。12得点を取れた打線には手ごたえを感じた。あとは守備面がどれだけ改善されるかが、今後の横浜栄のポイントとなりそうだ。