聖望学園vs山村学園

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＜第104回全国高校野球選手権埼玉大会：聖望学園5－4山村学園＞◇24日◇準決勝◇[stadium]県営大宮[/stadium]

　パワー対老獪さ、勝ったのはどちらか。

　[stadium]県営大宮球場[/stadium]の第二試合は、Aシード・山村学園と聖望学園との一戦である。この両校は新チーム結成直後の新人戦でも対戦し、その時は壮絶な打撃戦の末、11対10で聖望学園が勝利しているが今回はどうか。

　先発は、山村学園は右サイド山田翼、一方の聖望学園は岡部と両エースが連投で登板し試合が始まる。

　先制したのは聖望学園であった。

　聖望学園は初回、山村学園・山田 翼の立ち上がりを攻め、先頭の菅野が四球を選び出塁すると、続く河村 優がきっちりと送り1死二塁とする。さらに3番・上石が左前安打を放ち1死一、三塁とすると、続く双木がきっちりと犠飛を放ち幸先良く1点を先制する。

　対する山村学園も2回表、この回先頭の酒井が三塁へのゴロを放つがこれが一塁悪送球となり無死二塁とする。続く千葉がきっちりと送り1死三塁とすると、6番・山田 浩がきっちりと犠飛を放ち、すぐに同点とする。

　山村学園は4回表にも1死から3番・坪井が四球を選び出塁すると、続く酒井の二塁へのゴロがエラーとなり1死一、二塁とする。さらに5番・千葉が右前安打を放ち1死満塁とチャンスを広げると、続く山田 浩がセンター前2点適時打を放ち3対1とする。

　逆転を許した聖望学園もその裏すぐに反撃を開始する。

　2死から7番・江口が右前安打を放ち出塁すると、続く荒江が高いバウンドの二塁へのゴロを放つ。この打球を二塁手が逸らし（記録は安打）1死一、三塁とする。ここで9番・岡部が右前適時打を放ち、まず1点、さらに続く菅野も右前適時打を放ち同点とすると、2番・大橋も右翼線へポトリと落ちる適時打を放ち一気に4対3と逆転に成功する。

　聖望学園は6回裏にも、この回先頭の荒江が左越えの二塁打を放ち出塁すると、続く岡部がきっちりと送り1死三塁とする。さらに1番・菅野の投手へのゴロを投手がファンブルし1死一、三塁とチャンスを広げると、続く大橋のところで聖望学園ベンチはセーフティースクイズの指示を出す。これを大橋がきっちりと決め5対3と貴重な追加点を挙げる。

　聖望学園は8回裏にも、この回先頭の荒江が左中間へ二塁打を放ち出塁すると続く東山の遊撃へのゴロがエラーとなり無死一、二塁とする。だが犠打を連続で失敗するなど後続が続かず無得点で終わる。

　こうなると流れが変わり山村学園が最終回猛反撃を仕掛ける。

　聖望学園の2番手・東山を攻め、この回先頭の酒井が左翼線へ二塁打を放ち出塁すると、1死後6番・山田 浩が四球を選び1死一、二塁とする。ここで7番・塙が左前適時打を放ち1点差とすると、続く代打・花岡の打球は左翼後方へ大飛球を放つ。だがこの打球はレフト双木に好捕され万事休す。

　結局、聖望学園が5対4で山村学園の猛追を振り切り決勝へ進出した。

　まずは山村学園だが、エース山田 翼は連投で被安打12ながら良く粘って投げていた。ただ、疲れからか少し直球がシュート回転して苦しい投球となった。持ち味である強力打線も、この日は6安打とやや岡部の前に沈黙。プロ注目の坪井もこの日はノーヒットに終わった。

「岡部君に対してもうちょっと打てるかなと思っていたが、低めの変化球を振らされて長く投げさせてしまった所があった。もうちょっと徹底できて真っ直ぐを打てる状況になれば。山田翼は良く投げた。セーフティースクイズはやらせていいよと。うちは6点取らないと勝てないから。出し切りました」（岡野監督）
と、試合後悔やみつつもどこか晴れ晴れとした表情を浮かべていた。これで昨夏からの坪井、酒井など中心メンバーの夏が終わる。ただ、山村学園の1、2年生にも好素材はいる。秋以降の巻き返しに期待したい。

　一方の聖望学園は、この日はとにかく外野が良く守った。ここへ来てエース岡部が上り調子だ。前回岡部へは大宮東戦後に横振り担ぎになっているフォーム上の面で指摘したが、その部分も少し改善されつつある。元々潜在能力の高い打線も基本に忠実に徹底できており、この日も12安打を放った。
「岡部は大会に入ってからここへきてピッチングを覚えてきたかな。山田 翼君は内のボールがなかったので、外のボールを右に打つんじゃなしに、当てに行かずに肩を開かずに打て」（岡本監督）
の指示通り、4回は見事な5連打。そして流石なのは5点目の取り方だ。きっちりと取れる時に点を取ってくる。昌平戦でもあったが、ここというところで仕掛けるセーフティースクイズは後々必ず効いてくる。百戦錬磨の岡本監督が王者・浦和学院に対し、どのような策を講じてくるのか。場合によっては先発に奇襲攻撃を仕掛けてくるかもしれない。元々チャレンジャーの立場であるだけに集大成の一戦となるであろう。

（取材＝南 英博）