試合レポート

愛工大名電vs明豊

2022.08.14

愛工大名電 エース左腕・有馬が41年ぶり8強へ牽引 激戦区・愛知代表の意地みせる

愛工大名電vs明豊 | 高校野球ドットコム
有馬伽久(愛工大名電)

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第104回 全国高等学校野球選手権大会

<第104回全国高校野球選手権大会:愛工大名電5-2明豊>◇15日◇3回戦◇甲子園

 ベスト8を目指した愛工大名電(愛知)と明豊(大分)の一戦は、前半5回までに主導権を握った愛工大名電が5対2で勝利を飾り、41年ぶりとなる準々決勝進出。前ソフトバンク監督の工藤 公康氏を擁して以来となる8強入りだった。

 大先輩・工藤氏と同じ背番号1のサウスポーが快投を見せた。

 3戦連続での先発となった有馬 伽久投手(3年)が9回2失点完投勝利。今大会初となる完投で、エースとしての役割を十分に果たした。

「3試合目だったので、リリーフの準備をさせて万全な態勢でいましたが、有馬の攻略に(相手が)てこずっていましたので『行けるところまで』と思っていましたし、8回には『自分が投げ切ります』ということで行かせました」

 切れのある真っすぐに、鋭く曲がるスライダー、チェンジアップと質の高い球を最後までミットに投げ込み、強打・明豊を封じ込めた。特に各球種の切れについては、有馬も指揮官・倉野監督もオフから取り組んできたことが実を結んだ。

「冬場は全てにおいて回転数を増やすことをテーマにしていましたが、データを取りながらやってきて数値が高まったことで、空振りが奪えるようになったと思います」(有馬)

「(オフからの成長は)大いにあります。ここにきて回転数が高まり、スライダーについては回転率や変化率が高く、練習通りの実力を出せているのは数字からもわかっていると思います。自分の感覚で自覚をもって、自信を持って投げられていると思います」(倉野監督)

 愛工大名電は、最新鋭の施設が整った充実した設備がウリの1つ。投手陣も球速はもちろん、回転数の計測など、データを蓄積するのは日常的。それらを存分に使ってスピード以上の球質にするために磨きをかけてきた。

 その結果、有馬が今大会3試合で奪った三振は15個だが、そのうち13個が空振り三振(振り逃げ1を含む)。奪三振率5.79と決して突出しているわけではないが、空振りが取れる球質になっていることは間違いない。

 またバッターとしても今大会打率.545を記録。明豊戦では今大会初打点をマークするなど、試合を追うごとに投打の要としての存在感が高まっている。

 過去、倉野監督はこんなメッセージを残していた。

「愛知私学4強の歴史には波があって、だいたい3年周期だと監督をやって23年間で感じています。だから、次は愛工大名電の番だと思って責任を感じながらチームを作っています」

 プロ野球・広島で奮闘する田村 俊介外野手らの世代が夏の甲子園に出場し、その背中を追いかけるように有馬たちが2年連続で夏の甲子園に出場。星稜(石川)、八戸学院光星(青森)、そして明豊(大分)と甲子園でも結果を残す全国のライバルに勝って8強入りした戦績は、愛知私学4強の歴史に名を刻む結果といっていい。

 次はベスト4へ。投打ともに戦力整う仙台育英(宮城)をどう攻略するか。愛工大名電の戦いに期待だ。

(記事=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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