準硬式の日本一となった日本大 日大豊山出身の1年生右腕が好救援でV投手に
日本大・足立丈
<文部科学大臣杯第74回全日本大学準硬式野球選手権大会:日本大 10-9 大阪経済大(延長10回)>◇27日◇決勝◇レグザムスタジアム
9対9で迎えた8回、日本大は1死一、二塁と一打勝ち越しのピンチを迎えていた。ここで、4番手としてマウンドに上がったのは背番号24の1年生が、ぴしゃりと後続を封じ、逆転を許さずに優勝への足掛かりを作った。
「先輩から『打たれても仕方ない。1年生だから思い切り行け』と言われて、少し開き直ってマウンドに上がりました」
今大会で4試合目の登板となった足立 丈投手(日大豊山出身)。チーム最多タイの登板となっているあたりからも、1年生ながら首脳陣の期待が高いことが分かる。足立の武器は、小気味のいい投球からくるテンポの良さだ。
阪神・青柳 晃洋投手(川崎工科出身)を彷彿させる右腕を振り切る独特なフォーム。高校時代、同級生に上手投げの速球派投手がいたことを理由に現在に至ったが、直球は120キロ台、変化球も110キロ台のスライダー、チェンジアップと突出したスピードではない。ただ「春季リーグ戦が終わってから投手陣のテーマだった」というストライク先行のテンポ良い投球で、アウトの山を築いた。
秘訣はマウンド上でのマインドだ。
「日大豊山の時、調子を戻すために、『真ん中か真ん中高めくらいのイメージで投げよう』とアバウトに考えたらテンポが上がったので、もう一度心掛けています」
また、高めの直球が使えるようになったことも大きい。
日大豊山時代は、「使うことを考えたことがなかった」と選択肢にはなかったが、空振りや打たせて取るために、高めの直球を使うようになった。
象徴的な場面は延長10回だ。10対9と勝ち越しに成功し、優勝へあと1イニングと勢いづくところで迎えたのは、大阪経済大の5番・津島 良丞外野手(4年=大塚出身)。チーム最多3打点をマークしていた最重要打者を相手に、2ストライクに追い込んでから、最後は高めの直球。これで空振りを奪い、小さくガッツポーズ。先頭打者を切り、勢いそのままに後続を封じて優勝投手となった。
当初は硬式野球での継続を検討していたが、学業との兼ね合いなどもあり、準硬式の世界へ。そして1年生にして胴上げ投手に輝いた。「準硬式は選手主体でやることで、今まで違った真剣にやる楽しさがあります」と少し笑みをこぼし、充実ぶりが伝わってきた。
1年生ながら優勝投手となり、延長10回の激闘とともに歴史に名を刻んだ足立 丈。これからどんな投手となり、再び歴史に名を残すのか。