試合レポート

加藤学園vs富士宮東

2023.04.09

加藤学園が中断に大量点を挙げて5回コールドで富士宮東を返り討ち

加藤学園vs富士宮東 | 高校野球ドットコム
先制タイムリーを放った加藤学園・片山君

<春季静岡県大会東部地区予選:加藤学園13-3富士宮東>◇8日◇代表決定戦◇静岡県営愛鷹球場

 新型コロナの影響で中止になってしまった2020年春の第92回センバツ大会に出場を決めていた加藤学園。その後の夏に行われた代替えとなった甲子園での招待試合で勝利している。現状、それが唯一の甲子園出場ということだが、以降は県でも上位に進出する有力校の一つとして定着してきている。昨秋も、県3位校として東海地区大会に進出して至学館(愛知2位)、岐阜中京(岐阜1位)を下してベスト4に進出したが、準決勝では同県1位の常葉大菊川に敗退して甲子園を逃した悔しさを味わっている。この春は初戦で富士東を倒した。

 実は、この両校は昨夏の静岡大会3回戦で当たり、この時は先制攻撃が鮮やかだった加藤学園が5回コールドゲームで快勝している。富士宮東は勝又遊撃手が注目を浴びていただけにまさかの大敗ということになってしまった。昨秋は、県大会進出を逃している富士宮東だが、そこからの巻き返しを狙っている。この春は、初戦では伊豆総合を下して進出してきた。

 初回、加藤学園は二死走者なしから、藤沢君が左前打するとすかさず二塁盗塁。そして、片山君の左前タイムリー打で先制する。しかし、富士宮東もすぐに2回、二死一塁から7番佐野君が二塁打して二、三塁とし、続く橋本君も右線へ二塁打で2人を返して逆転。

 この段階で、加藤学園の米山学監督は、「リズムが良くない」ということで、すっぱり森投手を見切って、力強い投球が持ち味の鈴木日陽投手を送り込んだ。「こういう場面でも、多く投げてきた」という、鈴木投手はその後をきっちりと抑えていく。そうした中で、加藤学園は攻撃にリズムを呼び込んでいった。

 2回は一死一、三塁から投ゴロの間に三塁走者が返り同点。さらに、暴投で走者が進み、1番池田君の中前タイムリーで逆転。そして、2番大木君が左翼手頭上を破り、これがランニング本塁打となってこの回4点。3回にも、失策の走者を盗塁とバントで進めて松本君の左前打で帰す。

 そして4回、1番からの好打順だったが、失策と大木君の二塁打に四球で無死満塁とすると、死球押し出し後、北條君が走者一掃の三塁打。さらに、代打坂本君のタイムリーや池田君の中越二塁打など、この回は打者12人で7点を奪いビッグイニングとした。

 5回からは、3人目として10をつけた酒井投手が登板。一死後、二塁打され暴投と内野ゴロで1点を失うことになったが、このあたりもピシャリといけなかったところは一つの反省点だという。加藤学園の投手陣としてはエースナンバーをつけた吉川彗投手がいるが、それに続く投手を育てていくという意味でも、この日は継投で勝っていかれたことも大きかったのではないだろうか。

 米山監督は、昨秋の東海地区大会では、あと一つ勝てれば甲子園に届きそうなところで悔しい負けを体験したチームだけに、手ごたえも感じている。それだけに、その負けを糧として丁寧にチームを作っていこうという意向でもある。

 「あの負け以降は、もう一度原点へ戻ろうということで、全力疾走など当たり前のことを徹底していこうということで出直しました。まだ完璧ではなくて、途上というチームですけれども、出来ることを一つ一つやっていこうという姿勢です」と、謙虚にチームを見つめ直している途中だということを強調していた。

 今年度の新入部員も15~16人ほどは入部する見込みだという。東部地区の雄として、着実にその力を整えつつあるというところでもあろうか。

(取材=手束 仁)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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