関東一vs駿台学園
関東一が先発も好投し、ソツのない攻撃で駿台学園に快勝
関東一・菊地
<春季高校野球東京都大会:関東一8-3駿台学園>◇9日◇3回戦◇江戸川区球場
昨年と一昨年、春季大会は連続優勝を果たしている関東一。3連覇を目指しての戦いである。もっとも昨年秋は、世田谷学園に2回戦で1点差負けを喫しており、このチームとしてはそこからの立て直しとしてこの大会に挑んでいる。その関東一に対して、安田学園、多摩大目黒を下してきた駿台学園がどういう戦いをしていくのか、興味深いところでもある。
5回を終わった段階でわずか48分。前半は非常にスピーディーな試合だった。両チームの投手が制球よく、テンポのいい投球だったことも大きな要素だった。5回までは、関東一の先発左腕・菊地喬介投手(3年)は無安打に抑えていて、駿台学園の走者は2回の四死球による二人のみだった。菊地投手は、公式戦初先発ということだが、192cmの長身左腕は、米澤貴光監督の期待以上の内容だった。「身長もある大型投手なので、これから先で伸びる可能性のある選手だと思います。おそらく今がピークではないでしょうから、潰さないようにじっくりと育てていってあげたい」という思いも強い。それだけに、無理はさせないという起用法のようだ。このあたりは、米澤監督の、今の勝負ということだけではなく、選手の将来も見据えて育てていくという姿勢の表れでもある。
そして、菊地投手が好投している間に、関東一は2回に高橋 徹平君(2年)が左翼へのソロアーチで先制。さらに4回にも3番衛藤冴仁君(3年)が三塁打すると、続く佐々木迅君(3年)の左前打で返して2点目。6回にも、関東一は二死一、二塁となったところで、またしても高橋君が左翼フェンス直撃の二塁打で二人を返してリードを広げた。高橋君は、「一番得意な内側の高めに張っていたので、そこへ来たから迷わず叩いた」という一打で、2回の本塁打とほとんど同じようなコースを同じようなタイミングで叩いた一打だった。
こうして、関東一の流れで試合は進んでいくかと思われた。ところが8回、この回から関東一は2人目として栗原黎門投手(3年)が投げていたが制球に苦しんで2死球。ここで、米澤監督はすぐに3人目の坂井遼投手(2年)を投入。しかし、いささか準備ができていなかったのか、二死満塁となったところで4番相吉澤櫂君(3年)が左翼線へ二塁打して3人が返って、たちまち1点差。試合そのものの行方も分からなくなってきた。
しかしその裏、関東一は駿台学園の3人目、堀尾享生投手(3年)を攻めて四死球で満塁とする。さらに、内野ゴロの送球ミスなどもあってこの回4点が入って、これで試合の流れそのものも再び関東一のものとなった。
米澤監督は、「本当は、4対0となっていた場面で、そのまますんなりといかないといけないのですけれども、そうはいかないあたりがまだ、このチームは完全ではないというところですね。8回の失点も守りのミスからですから…。しかも、チームとしても前のチームから試合に出ていて、引っ張っていかなくてはいけない立場の選手ですからね」と、チームとしてのメンタル面の強化は、もっとしていかなくてはいけないということを語りながら、反省点としていた。
駿台学園の三角裕監督は、「春の大会ということもあって、経験を積ませてあげたいというところもあって、いろいろな投手を起用しようと思っていたのですけども、私の継投のミスもありましたね」と、自身の失敗も認めていた。それでも、「夏へ向けての収穫はあった。新入生も今のところは19人、さらに入ってくれる可能性もあるかもしれません。ここへきて3年生たちが伸びてきてくれたのも頼もしい」と、夏へ向けてのプラス材料も多くありそうだということも述べていた。
(取材=手束 仁)