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春季高校野球の愛知県大会展望 ~名古屋市内の私学4強に加えて2強が競い合う形に

2023.04.12

 今年の愛知県高校野球も、伝統の名古屋市内の私学4強と言われる東邦愛工大名電中京大中京享栄を中心とした戦いになっていくことは間違いない。ただ、今年はそれに加えて、プロ注目の好投手がいて先の名古屋市内2次トーナメントで1位となった至学館愛知産大工を加えた「私学6強」となっていきそうな状況だ。

 組み合わせから、ベスト4までブロックごとに見ていこう。

愛工大名電、享栄、至学館など強豪が続々登場

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享栄・東松投手

 知多地区1位の大府が四隅の一角となったAブロックは最も厳しい組み合わせとなっている。6強のうちの享栄愛工大名電愛知産大工の3校が集まった。1回戦から登場となる享栄は、3回戦でシードの大府と当たりそうだ。ただ、享栄には愛知商中部大一といった名古屋地区勢が挑んでいく。大藤 敏行監督が、注目の東松 快征投手(3年)をどこでどう起用していくのかというところも見どころである。大府は、打倒私学に燃えている。

 また、愛工大名電愛知産大工は勝ち上がれば3回戦で当たることになりそうだ。愛知産大工は、最速148キロを計測したという天野 京介投手(3年)が注目されている。名城大附に勝てば次は尾張地区2位の誠信と当たることになる。愛工大名電と当たる前にも壁はありそうだ。

 Bブロックは、3回戦で西三河地区2位の刈谷至学館が当たりそうだ。至学館伊藤 幹太投手(3年)は、今年の夏で勇退を公言している麻王 義之監督をして、「これまで至学館で見てきた中で最も素材力の高い投手。最後に至学館から初めてプロへ送り込むことができれば言うことはない」という思いで指導している。刈谷も、180センチ、80キロの重野 颯吾投手(3年)が高い評価を受けている。対戦すれば質の高い投手戦が期待できそうだ。

 一方のゾーンでは星城渥美農豊橋中央と東三河1位の豊川が競い合いそうだが、昨夏から多くの1年生が起用されていた三好も経験値が豊富で侮れない存在になりそうだ。

[page_break:東邦、中京大中京の行方は?]

東邦、中京大中京の行方は?

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東邦・宮國投手

 春のセンバツに出場して2勝を挙げた東邦がシード校となっているCブロックは、東邦がすんなりと4強まで行きそうな可能性は強い。ただ、2回戦で当たりそうな栄徳、次に挑んでくる可能性の高い愛知黎明なども一波乱を狙っていそうだ。

 知多地区の2位校・東浦か、東三河の2位校・桜丘が準々決勝で東邦に挑みそうだが、西尾日本福祉大付など、きっちりとチーム作りをされているところが、それぞれシード校に抵抗を示していきそうな勢いはある。どのチームも、甲子園帰りの東邦に対して、どこまで戦えるのかチャレンジしてみたいところであろう。

 西三河地区1位校の安城と、尾張地区1位校の愛知啓成のいるDブロックだが、ここには、昨秋ベスト4の中京大中京がいる。1回戦は中部大春日丘、そこを突破すれば愛知愛知といずれも、名古屋地区2次トーナメントでベスト4に残っている有力校だ。名古屋地区2次トーナメントでは準々決勝で愛工大名電に敗れている中京大中京としては、どちらも警戒したいところであろう。安城は、加藤 友嗣監督が起動力を駆使したり、何を仕掛けてくるのかわからないトリッキーさがチームの魅力だ。

 対するゾーンからは愛知啓成が上がってきそうだが、西尾東豊田工科といった西三河地区の曲者が控えている。

 最終的にはAブロックを勝ち上がったところが優勝にたどり着きそうな感じではある。各校とも、まずは夏のシード権獲得となるベスト8進出が、最初の目標ということになろう。ただ、春季大会は、それ以降では夏を見据えて投手起用もいろいろ試していくというケースもある。それだけに、波乱が起きるということも十分に考えられる。

 強豪を食った伏兵が、その勢いで駆け上がっていくということは、過去にも何度かあった。それだけに、どの試合も目を離せないものになっていきそうだ。

(文/手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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