試合レポート

【高知】決勝 高知中央 vs 高知

2023.07.27


<第105回全国高校野球選手権高知大会:高知中央4ー3高知>◇25日◇決勝◇県立春野

昨年まで3大会連続出場だった四国の盟主・明徳義塾の準決勝敗退により、大きな転換点を迎えた第105回全国高校野球選手権高知大会。決勝戦はその明徳義塾を延長11回タイブレークの末に2対1で下し、初の決勝戦へ駒を進めた第4シード・高知中央と、履正社(大阪)を下すなど2勝を挙げたセンバツでの安定した戦いそのままに、準決勝では第3シードの高知商を8回コールド8対1で圧倒した第2シード・高知が激突した。

試合の流れをつかみにいったのは高知。センバツでの好投が記憶に新しい右腕・辻井 翔大投手(2年)が自己最速144キロをマークした直球と、130キロ前半にまで達するカットボールとのコンビネーションが冴え、1回を三者三振で滑り出すと、打線も初回から高知中央の最速140キロ右サイド・高橋 秀斗投手(3年)から1死一、三塁の好機を作り、4番・山平 統己内野手(3年)が左飛。順調に先制点を奪う、かに思われた。

が、ここで高知中央にビックプレーが生まれる。左翼手の謝 喬恩外野手(2年)は、ホームベースで待つ越智 大地捕手(3年)へのストライク送球で先制点を阻止。ここで流れを断ち切った高知中央・高橋は2回以降「(捕手出身の)太田(弘昭)監督から配球を学んだ」越智のアシストも受け、内角への直球と、外角低めに逃げるシンカーのコンビネーションで高知打線を翻弄。試合は5回まで1安打7奪三振とつけ入るスキを与えない高知・辻井との投手戦となる。

そんな緊迫の展開はグラウンド整備後から一転。6回に高知中央が球速のやや落ちた辻井と、急きょ登板で立ち上がりの球が甘かった最速146キロ右腕・平 悠真投手(2年)から、5番・奥田 誠絆内野手(3年)からの3者連続適時打などで4点を先制すれば、その裏に高知も1死満塁の絶好機を作ると、高橋を継いだ最速143キロ左腕・藤田 一秀投手(3年)から途中出場の7番・西村 侑真内野手(3年)が主将の意地を示す2点適時打を放った。

さらに高知は8回にも2死満塁から0ボール2ストライクから代打の代打となった2番・酒井 章伍内野手(3年)が自身への初球で高知がセンバツ後に取り組んできた「ミートフル」を体現する適時打。3対4として高知中央に強烈なプレッシャーを与えた。しかも高知中央の9回マウンドには藤田の姿はなし。準決勝・明徳義塾戦でできたマメはすでに限界を超えていた。

しかし「練習試合からあらゆる状況を想定して投手継投も含めやっていた」(太田監督)高知中央に動揺は見られなかった。指揮官はここで「カーブに特長を持っている」1年生左腕・横山 宏伸投手を、5回無失点に封じた2回戦・高知工戦に続くマウンドに送り込むと、横山は2四球を与えるも狙い通りのフライアウト2つを奪取。4対3で高知を下した高知中央は、創部55年目の夏で悲願の甲子園初出場を達成した。

表彰式や、太田監督の胴上げなど大きな歓喜の輪が解けた[stadium]高知県立春野総合運動公園野球場[/stadium]。いつのまにか長い陽も落ちかける中、甲子園への意気込みを問われた選手たちは異口同音にこう答えた。

「いつも通り、自信を持っていくだけです」

相手を見て、選手たちが対応し、ベンチが後押しする「つながり」で頂点に立った高知中央。彼らは憧れの聖地でも自分たちのスタイルを貫き、目の前の一戦を全力で戦っていく。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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