徳島県ではなぜ公立校が甲子園に出場し続けるのか
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12年ぶり24回目の夏甲子園を決めた徳島商
8月6日(日)から兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で行われる「第105回全国高等学校野球選手権記念大会」今年も全国49代表校のうち40校が私立を占める中、この県はこの夏も公立校が牙城を守った。
これまで47都道府県、49代表校で唯一、私立の出場がないその県とは……。今年は徳島商が12年ぶり24回目の出場を果たした徳島県である。そもそも現在、徳島県内に硬式野球部がある私学が生光学園1校のみという特殊な状況はあるものの、その生光学園も過去には武田 久(駒澤大~日本通運~元北海道日本ハムファイターズ・現日本製鉄東海REXコーチ)、木下 雄介(駒澤大中退~徳島インディゴソックス~元中日ドラゴンズ・故人)など、現2年生にも最速153キロ右腕・川勝 空人など、好投手を多く輩出し続けている四国地区強豪の1つ。
にもかかわらず、公立校が強さを維持できるのはなぜか?まずは徳島県に根を張り、ここまで数々のトッププロに携わっているインディゴコンディショニングハウス・殖栗 正登代表に話を聴いた。
「僕が3年前に中高連携行事の「徳島県中学校体育連盟軟式野球部指導者講習会」で講師を務めてから3年余りが経ちますが、その間に選手や指導者の意識は確実に上がっています。しかも徳島県は小中学校野球の段階から、徳島県内で強くなっていこうとする強い意思がある。ここは他県にはないところだと思います」
その殖栗代表も7年前に長期育成野球トレーニング教室を立ち上げ。その1期生は今年21世紀枠センバツ出場した城東の最速143キロ右腕・清重 登暉、二塁送球1秒9台の森本 凱斗バッテリーをはじめ、各校の屋台骨を支える高校3年生選手になっている。
生光学園も交えた切磋琢磨がハイレベルの公立代表校を生む
ここからは筆者の見解も記そう。この10年余り、徳島県の各校を取材し続けて感じるのは、各校がチームの特色を明確に出しつつ、その特色に適合した選手たちが集まっている点である。
いくつか端的なスローガンで特色をあげれば鳴門は「豊富な練習量に立脚した王者の矜持」。鳴門渦潮は「才能あふれるタレントの集合体」、城東は「最少効率で最大効果をあげる」、池田は「伝統と作戦徹底の融合」、そして徳島商は「絶対的な柱の育成」など……。ここに冒頭に記した生光学園が加わることで、各校が切磋琢磨しハイレベルな代表校を生み出す要素となっている。
よって今だから言えることだが、2014年夏に鳴門が同年センバツ優勝の智辯学園(奈良)を破ったのも、城東が今年、センバツで東海大菅生(西東京)に善戦したのも、徳島県のレベルを鑑みれば決して不思議ではない。いわば必然の中の1つである。
もちろん、今夏の徳島商もそんなハイレベルの闘いを勝ち抜いた実力者。最速149キロ右腕・森 煌誠(3年)を絶対エースに押し立てる彼らがどんな徳島県代表校の野球を聖地で提示してくれるか。ぜひ楽しみにしてほしい。
記事=寺下 友徳
高校野球ファン
2023-10-02 at 9:46 PM
今年(2023年)春の甲子園に出場した「徳島女子マネージャー枠」は秋の四国大会不出場にも拘らずゴリ押しされただけなので、自力で甲子園出場した鳴門と一緒にするのは失礼としか思えない。