試合レポート

【甲子園】3回戦 広陵 vs 慶應義塾

2023.08.17


常に攻めの姿勢!慶應義塾が嫌らしい機動力と強気な攻めで広陵を破り、15年ぶりのベスト8!

<第105回全国高校野球選手権記念大会:慶應義塾6-3広陵(延長10回タイブレーク)>◇16日◇3回戦◇甲子園

「うちが勝つとすれば、タイブレークしかありませんでした」

試合後の取材でそう語ったのは慶應義塾(神奈川)の森林監督。慶應義塾のチーム力、広陵(広島)の力量、精神力の強さを考えれば、うなずける。

慶應義塾はマインド面、作戦面で、広陵より攻めの姿勢が出ていた。そこが激戦を制した1つの要因だった。

前半は慶應義塾が試合を優位に進めた。調子が上がらない広陵のエース・髙尾 響投手(2年)に対し、初回から攻め立て、四球で出塁した1番・丸田 湊斗外野手(3年)が三盗を成功させるなど、広陵バッテリーにプレッシャーをかける。広陵の捕手・只石 貫太捕手(2年)は「研究されていて、本当に嫌な雰囲気がありました」と語るように、心理面で相手を追い詰めていた。

初回は延末 藍太内野手(3年)の2点適時打、3回にも延末の内野ゴロの間に1点を入れ、3回表まで3点を先制する。前半の試合運びは満点とも言える内容。ただ、森林監督は「広陵さん相手にこのまま逃げ切れるとは思わない。追いつかれる展開になると思いました」と語るように、広陵は後半に畳み掛け、同点に追いつく。広陵のエース・髙尾も、尻上がりに調子を上げ、常時140キロ中盤・最速146キロの直球で圧倒する。スライダーも決まり、リードする只石も「ストレートだけではなく、スライダーも格段に良くなりました」と強打の慶應義塾打線に対し、4回以降、無失点に抑えた。

その髙尾の投球が、広陵の野手陣の粘り強い打撃につながった。

9回裏、慶應義塾のマウンドに登ったのは松井 喜一投手(3年)。 前回の北陸(福井)戦ではわずか1イニングで4失点を喫している。ここで松井が大事にしたのは攻めの気持ち。直球主体で攻めた。

北陸戦もそうですが、センバツの仙台育英(宮城)戦ではスライダーを打たれてサヨナラになっています。悔いを残したくない思いでストレートで勝負しました。また、これまでの試合を思い出しながら、冷静に投げられたと思います」と、その後の2死一、二塁のピンチも冷静に後続を断った。

10回表、慶應義塾は打撃好調の1番・丸田が強硬策の右前安打で満塁のチャンス。そこから敵失や、延末のこの日5打点目を挙げる2点適時打が飛び出した。森林監督は「タイブレークの場面で、打者によってはバントからする選択肢はありますが、1番丸田でしたので積極的に打ちにいかせました」と語る。

この3点で広陵の勢いは止まった。そして松井はさらにギアを上げる。

「小宅(雅己)は伸びていくストレートですが、自分はサイドで勢いよく投げられるので、コーナーをどんどん攻めるようにしました」

無死一、二塁から攻めの気持ちでアウトはすべて三振にとり、15年ぶりのベスト8に導いた。

慶應義塾は最後の最後まで攻めの気持ちがあった。また、守備の時でも冷静に1つのアウトを取る視野の広さもあった。

対して広陵は戦略上、どこか守りに入った姿勢が終始、気になった。そこが隙につながった。

広陵の世代屈指のスラッガーの最後の打席はバント失敗に終わる、今後、求めていきたいこと


<第105回全国高校野球選手権記念大会:慶應義塾6-3広陵(延長10回タイブレーク)>◇16日◇3回戦◇甲子園

世代屈指のスラッガー・広陵(広島)の真鍋 慧内野手(3年)の高校最後の打席がバント失敗となる三飛に終わった。この場面についてはかなり議論となっているが、戦略上、理解できる点とデメリットだったという部分を整理したい。

真鍋にバントをさせる選択肢について中井監督は「タイミングが合っていなかった」と語るように、これまで1安打を打っているが、慶應義塾投手陣に対応できておらず、内容自体は良くない。そして4番・小林 隼翔内野手(3年)、5番・只石 貫太捕手(3年)が当たっており、1点を入れてサヨナラにするのは、理解できる選択肢ではある。今年の広陵は真鍋が目立っている部分はあるが、チームとして勝つための戦略が送りバントだったということだろう。

ただ、投手の心理からすればどうか。慶應義塾松井 喜一投手(3年)は振り返る。

広陵さんは手堅いなと感じました。ただ、真鍋選手がバントをして、アウトを1つ取れるのは投手としては楽だなと思いました」

裏攻めで、一振りすれば、プレッシャーを与えられる真鍋の打撃は脅威だろう。今回は失敗に終わったことで、誤算の流れになっているが、今後の真鍋に期待したいことは、こうした場面でもどっしりと任せられるスラッガーになってほしいということだ。

筆者は長く真鍋の打席を見送ってきた。

ポテンシャル自体は本物だ。

近畿大のグラウンドで行われたU-18代表の1次合宿の打撃練習では常に本塁打級の打球を飛ばし、飛距離自体は同グラウンドで見た阪神・佐藤 輝明内野手(仁川学院出身)にひけをとらないものがあった。

しかし実戦では、大爆発とまではいかなかった。引っ掛けたような打球も多く、真鍋に任せにくいものがあり、結果としては誤算であったが、バントせざるを得ない選択肢になったのは理解できる。

今後、真鍋がどの進路を進むか、分からない。同じような場面に遭遇した時、強打を披露できるスラッガーになってほしい。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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1 Comment

  1. 冷静申請大学生

    2023-08-17 at 7:57 PM

    素晴らしい試合をありがとう!
    高尾、只石を筆頭に新チームどうなるのか楽しみですー!
    ありがとう広陵!

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