試合レポート

【甲子園】準決勝 慶應義塾 vs 土浦日大

2023.08.21


苦しい試合も慶應義塾を救ったエースの完封、主将の適時打で103年ぶりの決勝進出

<第105回全国高校野球選手権記念大会:慶應義塾2-0土浦日大>◇21日◇準決勝◇甲子園

慶應義塾(神奈川)にとっては、甲子園に入ってから、一番苦しい試合展開となった。

2回、9番・小宅 雅己投手(2年)の適時二塁打で1点を先制。さらに6回にも、8番・大村 昊澄内野手(3年)の適時打で2点目を入れる。

ただ、慶應義塾はいつもより攻めが慎重だった。スクイズを仕掛けるが、なかなか決まらない。7回には1死三塁でスクイズを仕掛けたが、フライとなり、併殺となった。森林監督としては、なんとか5、6点を奪って、継投策を使いたいところだった。

それでもエースの小宅が、7安打を打たれながらも完封勝利を挙げ、チームを救う快投を演じた。

「本当によく投げてくれました。今までの試合ではしっかりと打てて点が取れた試合でしたが、今日は笑っちゃうぐらい苦しい試合でした。苦しい試合の中で勝ち切れたのは財産になります」とエースの小宅と守りきったナインを称えた。

苦しい試合展開で2点目をもぎ取った大村の適時打については「彼のタイムリーでチームは勇気をもらった」と語るように、点は取れなくても落ち着いた試合運びだった。

エース小宅の好投に尽きる。渡辺 憩捕手(3年)は「今回は内角へ厳しく投げることができていました。そのため、外角にも変化球をしっかりと攻めることができました」と話した。常時140キロ前後(最速142キロ)の直球を内外角へ投げ分けることができただけでなく、低めにもしっかりと伸びる直球を投げ込んでいた。縦に落ちるスライダーも低めに決まった。対戦した土浦日大(茨城)の太刀川 幸輝外野手(3年)は「内角にも厳しく突かれて、縦のスライダーも良かったです」とお手上げ状態だった。

森林監督としては継投策を使いたいところだったが、試合展開がそうさせなかった。決勝戦を考えると、小宅の完投は気になるが、この1勝を勝ち取るには、そうせざるを得なかった。

決勝戦の相手は、センバツ初戦で1対2で敗れた仙台育英(宮城)。センバツでは仙台育英投手陣に抑え込まれた。慶應義塾ナインの目標は、その時から仙台育英の投手陣を攻略することが基準となり、打撃練習に励んできた。それがここまで勝ち上がった原動力にもなっている。

センバツ初戦で対決したチームがその年の夏の甲子園決勝で対戦するのは、2019年の履正社(大阪)vs星稜(石川)以来、4年ぶり。履正社奥川 恭伸投手(現・ヤクルト)にセンバツで完封負けを喫したことが、強力打線を作り上げるきっかけにもなった。

仙台育英の2連覇か、挑戦者・慶應義塾の107年ぶりの優勝か。注目の一戦となる。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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1 Comment

  1. 野球大好き

    2023-08-23 at 5:36 PM

    慶応打線を2点におさえた土浦日大は
    もっと評価されてもいいですよね?

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