【甲子園】決勝戦での遊撃手の華麗な守備にも注目!フィナーレを飾るにふさわしいプレーに期待
第105回全国高校野球選手権記念大会は23日、仙台育英(宮城)と慶應義塾(神奈川)の決勝戦が予定されている。暑い夏をさらに熱くした戦いは、ついにフィナーレとなる。
個人的には、勝敗を超えて楽しみにしていることがある。両チームには守備を得意とする遊撃手がいる。仙台育英の山田 脩也内野手(3年)と、慶應義塾の八木 陽内野手(3年)。今大会前から、守備には定評がある遊撃手として評価は高かったが、甲子園でも随所に好プレーを見せている。
仙台育英の山田は、準決勝の神村学園(鹿児島)戦の8回、中前へ抜けようかという当たりをグラブの先端でキャッチすると、体を反転させて一塁へ送球。間一髪アウトにしてみせた。堅実なプレーはもちろんだが、体幹の強さを発揮しての華麗な守備も見せた。
慶應義塾の八木も負けてはいない。こちらは冷静な判断力で非凡さを見せた。3回戦の広陵(広島)、3対2で迎えた7回裏の守備で、1死二、三塁のピンチを迎えた。守備隊形としては内野ゴロなら同点でもOKで通常のポジションで守った。そこへ普通の遊撃へのゴロ。八木は一塁でアウトにするのか、と思いきや、三塁へ向かう二塁走者が目の前を通過したことで八木は三塁送球を選択。素早い挟殺プレーでアウトにし、打者走者を一塁に釘付けにした。一塁でアウトにしていれば2死三塁。勝ち越されるピンチが続いたところを、同点にはされたが、2死一塁にとどめた。
最終的に延長タイブレークの末に慶應義塾が勝利した。このプレーがなければ、この結末はなかったかもしれない。何気ないプレーだが、危機管理能力を含めた内野手としてのセンスが凝縮されていたと思っている。
両チームはセンバツ初戦で対戦しているが、2人の結果はチームの勝敗を象徴していた。八木は9番・遊撃でスタメン出場も2打席凡退。7回に代打を告げられ、途中からベンチに退いた。一方、山田は1番・遊撃でスタメン出場。4打席凡退も、延長10回タイブレークで迎えた第5打席に左前打を放ってチームをサヨナラ勝ちに導いてヒーローになった。
ともに中学時代から「逸材」と呼ばれ、鳴り物入りで両チームに入学した。その2人が、高校生活ラストを飾るにふさわしい夏甲子園の晴れ舞台、決勝で対戦する。これも運命なのか。この夏の甲子園ラストゲームでの、遊撃手の華麗な競演に胸躍らせている。