【U-18】決勝 日本 vs 台湾
なぜ台湾に勝てて世界一になれたのか?決勝戦で試合を分けたポイント
<U-18W杯:日本2-1台湾>◇10日◇決勝◇台湾
初の世界一を決めた日本が、出場国中、最強の戦力を誇る台湾になぜ勝てたのか?
決勝戦では切り札・前田 悠伍投手(大阪桐蔭)が登板。台湾に互角に渡り合える前田がそのまま実力を発揮すれば、ロースコアで勝負できる力量を有していた。
実際に前田は1回に1点を失ったものの、追加点を取られなかった。これが本当に大きかった。7イニングにおいて追加点を取られると重くなる。前田の勝負勘の良さが光った。
2回以降は147キロをマークするなど、今年見た中では一番と思わせるほどの球威があった。あれだけ140キロ後半の速球を打ち込んでいた台湾打線も振り遅れたり、受け身の打撃になっていた。
そして4回、ついにチャンスが訪れた。1死二塁の場面で、慶應義塾(神奈川)のトップバッターとして甲子園優勝に貢献した丸田 湊斗外野手が自らの判断でセーフティ―バント。いったんアウトの判定になるものの、リプレー検証の結果、セーフに。これが試合の分かれ目になった。1死一、三塁と2死三塁では、得点できる確率が大きく変わる。
その後、高中 一樹内野手(聖光学院)のスクイズが相手のエラーを誘って2得点。この状況を作り上げた丸田のセーフティ―バントが逆転を呼んだ。
そこから前田は安定感抜群の投球を見せる。内外角、変化球主体と、投げ急がず自分の投球ができていた。球威は落ちていたが、制球力、気持ちの強さは全く変わっていなかった。
守備陣も盛り立てた。特にセンターの丸田の判断力を生かしたポジショニングや、球際の強さ、守備範囲の広さを発揮した。大会序盤は打撃で苦しんだがヒットが出始めてから、丸田本来の良さである野球脳の高さや、自ら判断して最善のプレーを実行する慶應義塾の野球を実行できていた。
完全アウェーの中でも日本の選手たちは最後まで落ち着いてプレーができていた。それができたのはエース・前田が最後まで崩れなかったからだと思う。
今回の世界一については色々な取り組みが結実した。だが、この緻密な野球は馬淵監督が率いるチームしかできないと感じさせた。馬淵監督ほどの先を読む能力、采配がなければ勝てたか?と思わせる試合は多くあった。
指揮官のやりたい野球を全うし、そして選手たちは自分たちの役割を実行し、初の世界一をつかんだと言える。